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「遺言に書いていない財産」という落とし穴
佐川京子行政書士事務所 代表/ファイナンシャル・プランナー 佐川 京子
  遺言を書いて一安心…と思いきや、うっかり見落としていた財産が後から見つかり思わぬ争続の種をまいてしまうかもしれません。今回はそのようなケースをご紹介します。
■  夫の3回忌に子どもたちから言われた遺言のこと
  横田貴子さん(78歳・仮名)が、遺言を書くきっかけになったのは、夫、功さん(仮名)の3回忌の会食のときでした。貴子さんの80歳を前に、母親の相続のことを気にしていた子どもたちから、財産は何があるのかを調べて、遺言を書いておいてほしいと言われたのです。
  功さんの相続のときに財産調査に苦労したことを3人の子どもたちは知っていたので、もっともな話だと思い、貴子さんは遺言を書くことにしました。財産は、自宅(時価約2,000万円)および預貯金約1,000万円がありました。貴子さんは、遺言を自筆証書遺言で作り、同居している長女(横田明子さん50歳・仮名)に預かってもらうことにしました。
  遺言が出来上がり、一安心と思っていたある日、貴子さんは、家で階段を踏み外して足を骨折し、入院しました。入院中に認知症のような症状が出てきたため、介護保険の介護認定を受けて、退院後は、ヘルパーさんに来てもらい入浴などの介助をしてもらっていました。
  退院してから1年くらいたったころ、貴子さんが自宅で倒れているのをヘルパーさんが発見。救急車で病院に搬送されました。再び足の骨折と頭を強く打っており、入院して治療を受けましたが、認知症が悪化。退院はしたものの、長女とヘルパーさんでの自宅介護が難しくなったので、老人ホームに入居しましたが、それもつかの間、体調が悪くなり入院。治療の甲斐もなく亡くなりました。ちょうど84歳の誕生日でした。
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