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Case2
神経難病の夫を妻が老老介護、
訪問看護や専門職の連携が頼り
福祉ジャーナリスト 安藤 啓一
  【介護サービス利用者プロフィール】
状  態 80代後半の男性。寝たきりのため終日看護・介護が必要な状態。要介護5。
ケア方針 妻と息子の3人暮らし。主に介護している妻も80代と高齢なことから身体介助をすることができない。会社員の息子はほとんど介護に携わらない。そのため医療・介護の専門職たちの連携チームによって支えられている。
在宅ケアの費用 介護保険の自己負担額(目安):¥27,000(限度額:¥36,065)
※往診、ショートステイなどの費用を除く。
■ 食事も摂れない重度の夫を高齢の妻が自宅介護
  都内で暮らす大森郁夫さん(87歳・仮名)は、東北地方の生まれだが大学進学で上京。法学部を卒業後、地元には帰らず東京の地方自治体に就職しました。妻の智子さん(仮名)とは職場結婚。小さいながらも戸建てのマイホームを購入。地方公務員を定年まで勤め上げると、地元の町内会役員を引き受けるなど、地域とのつながりを大切にしながら暮らしていました。
  そうしたときに郁夫さんが神経難病を発病。介護ベッドを使っても1人で座った姿勢の座位を保つことができず、寝返りをうつこともできません。また、入院中は薬の影響もあって食事をうまく嚥下えんげ(飲み込むこと)できなかったため、胃ろう(おなかの小さな口)を入院中に設けてもらいました。胃から表皮まで貫通している直径数oの穴にチューブを通し、そこから胃に直接栄養を入れることができるようになりました。
  療養病床に入院していましたが病状が安定したこともあり、郁夫さんも智子さんも退院して在宅介護を望みました。母親の介護負担を心配した1人息子の達夫さん(仮名)は、海外駐在からの帰国をきっかけに、郁夫さん・智子さんと同居をはじめましたが、メーカー勤務の中堅管理職で忙しく、介護や家事はほとんどできていません。それでも「夜、息子が家にいてくれるだけで安心です」と智子さんは頼りにしています。
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