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バセドウ病
株式会社ASSUME 代表取締役/査定医 牧野 安博
  「甲状腺機能亢進症」という病名を聞いたことはありますか?
  あるいは、「バセドウ病」であればご存知でしょうか?
  ここ数年だけでも歌手やスポーツ選手など、数人の有名人がこの病気で休養したり治療を受けたと報道された記憶があります。今回は告知書でもよく見かける病気の一つで、甲状腺機能亢進症を呈するバセドウ病について解説します。
■ 疾病概念・原因
  甲状腺は頸の前、喉仏の下あたりにある、蝶が羽を広げたような形をした臓器で、甲状腺ホルモンを産生しています。甲状腺ホルモンは人が生きていくのに必要なホルモンで、細胞の新陳代謝を調節したり、身体を元気にしたり、子どもが成長・発達していくのに必要です。この甲状腺ホルモンが過剰に分泌されて全身の代謝機能が高まり、様々な甲状腺ホルモンによる中毒症状を起こすことを甲状腺機能亢進症といいます。
  甲状腺機能亢進症を呈する甲状腺疾患の一つがバセドウ病です。バセドウ病は、TSH受容体という物質に対する自己抗体が血液中に生じる結果、甲状腺ホルモンが過剰に産生される自己免疫疾患と考えられています。その他、プランマー病、TSH産生腫瘍、無痛性甲状腺炎、亜急性甲状腺炎なども甲状腺機能亢進症を呈することがあります。しかしながら甲状腺機能亢進症の原因疾患としては、バセドウ病が大宗を占めます。
■ 疫学・症状・経過
  バセドウ病は、20〜40歳代に多く、男女比では女性が男性の4〜5倍と、女性のほうが圧倒的に多く存在しています。バセドウ病を含む甲状腺機能亢進症では、全身の新陳代謝を活発にさせる次のような甲状腺中毒症状が起こります。
   ・   甲状腺腫大・眼球突出・頻脈(代表的な三徴候)
   ・   動悸・発汗・体重減少・微熱・易疲労感(代謝亢進のため)
   ・   手指の振戦
   ・   月経異常・集中力の低下・不眠(ホルモンバランスが崩れるため)
   ・   収縮期高血圧(拡張期血圧は低下する)・心房細動(心機能亢進のため)
   ・   甲状腺クリーゼ(突然重篤な甲状腺機能亢進状態となり生命に関わる事もある)
   ・   低カリウム性周期性四肢麻痺・筋力低下・脱力・コレステロール低下
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