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前立腺肥大症
株式会社ASSUME 代表取締役/査定医 牧野 安博
  夜中に何度もトイレに起きて睡眠不足になる、トイレに行ってから2時間と経っていないのにまた尿意がある、トイレに行った直後なのに残尿感がある、そんな症状にいくつも心当たりがある男性は、前立腺肥大症かもしれません。今回は、中高年男性の告知書で実によく見かける疾患の一つ、前立腺肥大症について解説します。
■ 疾病概念・原因
  前立腺は、膀胱の下に位置する大きさ約3cm大の男性の生殖器の一つで、精子に栄養を与える前立腺液を作ります。
  前立腺の中心に尿道が通っていて、尿道を取り囲む内腺と呼ばれる部分が加齢に伴い肥大化し、尿道が狭くなることで膀胱刺激症状、排尿障害、残尿の発生など、排尿に関する様々な症状を引き起こします。これが前立腺肥大症です。詳しい原因はわかっていませんが、男性ホルモンが強く関与していると考えられています。
■ 疫学・症状・経過
  前立腺肥大症の患者数は、約32万人で、50歳以上で多く見られ、近年、増加傾向にあります(厚生労働省「平成23年 患者調査」より)。
  初期症状としては、尿意切迫感・頻尿(特に夜間頻尿)がみられ、徐々に排尿に時間がかかる・尿の勢いが弱くなる・尿が途切れる・残尿感があるなどの症状が出現します。ひどくなると尿漏れや尿閉などを起こし、そうなると排出されない尿は腎臓へ逆流してしまうので、結果として水腎症となり生命の危険もあります。
  前立腺肥大症の危険因子としてはアルコール摂取が挙げられます。大量飲酒をすると血管が充血し、前立腺がむくみ、そのむくみによって尿道が狭くなって症状が悪化してしまうのです。また、生活習慣病の人に多いとも言われています。
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