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胃潰瘍
株式会社ASSUME 代表取締役/査定医 牧野 安博
  生命保険会社の新契約引受査定者が、査定をする際に注意しなければならないポイントがいくつかあります。どういう病名で、いつ頃(年代)、どのような治療をしたかということもその一つです。
  たとえば、以前、がんは本人への病名告知が避けられるのが一般的で、胃がんは胃潰瘍、肺がんは肺化膿症などと病名を変えて説明されていました。過去の資料に記載されている病名が、実は別の疾患であった可能性を考える必要があります。
  また、疾患の原因解明、治療器具や新薬の開発、医療技術の向上などにより、時代によって治療法が大きく変わることもあります。
  「この疾患、この年齢で開腹手術まですることはあり得ない」と思っても、実は一昔前はそれが治療法の主流だったということもあるのです。
  今回は、胃潰瘍について解説します。
■ 疾病概念・原因
  胃潰瘍とは、胃から分泌される胃酸と、胃酸から胃壁を守る粘液、粘膜血流や胃粘膜細胞の増殖などの防御機構とのバランスが崩れることで胃壁に炎症を起こし、深くえぐれた状態となって痛みや出血を起こす病気です。胃潰瘍よりも浅い状態は胃糜爛(いびらん)といいます。
  現在、胃潰瘍は、ヘリコバクターピロリ菌の感染と非ステロイド性抗炎症薬の副作用が二大原因といわれており、そのほかにストレス、暴飲暴食や早食いなどの不規則な食生活、喫煙・飲酒・刺激物の摂取など、嗜好が関与すると考えられています。
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