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家の建て替えができない!
ファイナンシャル・プランナー 山田 静江
■ 家の建て替えを契約。ところが…
  里山浩司さん(55歳・仮名)はここ数カ月、妻の由美さん(54歳)と一緒に、住宅展示場めぐりに励んでいました。同居していた母親を昨年見送ったのをきっかけに、老朽化した自宅を建て替えることにしたのです。
  自宅は浩司さんが高校生になるときに父親が建てたもので、まもなく築40年となる古家です。リフォームや修繕を繰り返してきましたが、昔ながらの造りで使い勝手が悪いため、思い切って建て直すことにしました。2人の子どもの学費もあと少しで終わるので、住宅ローンを組んでも何とかなりそうです。日当たりのいい広いリビングに対面キッチン、収納は作り付けにして部屋をすっきりさせたい、子ども部屋は将来、夫婦の趣味部屋にしようかと夢はふくらみます。
  何回か足を運んだ末に、価格が手ごろで、担当者の対応もよかったハウスメーカーA社に決めました。手付金100万円を払って設計図を作成してもらい、いよいよ着工という段になって、思いもよらない大問題が起こりました。今のままでは住宅ローンを借りることができず、さらに家を建て替えることもできないというのです。
  浩司さんには姉と弟がいるのですが、父親の相続のとき自宅を長男である浩司さんの名義にすることに2人は反対しました。そのため預貯金などは母親の名義に変えたものの、自宅の土地家屋の名義を変更していませんでした。母親が亡くなったときには、預貯金は少しだけしか残っておらず、葬式代を払ったあとの金額を3人で分けました。またもめごとになるのがいやで、自宅については特に話し合いはしませんでした。そのため、自宅の名義はまだ亡くなった父親のままです。
  浩司さんは登記上の名義はどうあれ、自分はずっとこの家に住んでいるので、この家に関する権利は自分にあると思っていたのですが、実際は相続人であるきょうだい3人の共有名義とみなされます。共有名義の家を勝手に建て替えたりすることはできないのです。
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