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祖父の介護をしていた孫は、相続人ではなかった
ファイナンシャル・プランナー 山田 静江
■ 母が死亡後も祖父の介護を続けた隼人さん
  相続では、戸籍謄本を取って初めて「誰が相続人か」わかったというケースは多くみられます。しかし今回の事例は、戸籍上の関係が分かっていたものの、「法律上は相続人にはなれない」ということに気付かなかったケースです。
  大里隼人さん(当時24歳)は、同居していた祖父の昇さん(享年89)を自宅で看取りました。亡くなる前の2〜3年間は寝たきりに近い状態になってしまった祖父を、隼人さんは、アルバイトをしながら身の回りの世話や介護などをしていました。
  隼人さんは5歳のときから、今回亡くなった昇さんのほかに、祖母と母親の悦子さんの4人で暮らしていました。ところが、5年前に祖母、そして4年前には悦子さんが相次いで亡くなりました。頼りにしていた悦子さんが亡くなってから、昇さんはすっかり弱ってしまっていたのです。
  実は隼人さんは昇さんとは血縁はありません。しかし、祖父母は祖母の姪である悦子さんと養子縁組をしていたので、幼い頃から実のおじいちゃんと思って暮らしてきました。ですから悦子さんが亡くなった後も、昇さんの面倒を見て暮らしてきたのです。
  昇さんには5人の弟妹がおり近所に暮らしていましたが、みんな高齢であることや、ふだんの行き来もなかったことから、介護等で頼ることはありませんでした。
図表1 想定していた祖父の相続人
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