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土地をめぐる相続対策で失敗
ファイナンシャル・プランナー 山田 静江
■ 節税対策を誤ったか…?
  日本では、所有する財産の多くは不動産です。平成25年の国税庁統計年報によると、相続税の対象となる取得財産の内、不動産が占める割合は、46.7%(土地41.5%、家屋・構築物5.2%)。一般庶民だけでなく、相続税を支払うような資産家でも、その財産のほぼ4割を土地が占めています。
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  東京都在住の大森さん(仮名:71歳)は、20年ほど前に資産家である父母が相次いで亡くなり、10億円近い財産を相続しました。父親は相続対策をしていたものの、それでも受け継いだ財産の約1/4の金額の相続税を支払うことになりました。
  相続税の負担を減らそうと考えた大森さんの元に、不動産業者から土地購入の話が舞い込みました。相続税の計算では、預貯金がそのままの価格で評価されるのに対して、土地は実勢価格より2〜3割は低く評価されるため、節税になるというのです。
  1990年前後にバブル経済がはじけて土地神話が崩れ、日本中の地価が急降下しましたが、大森さんに土地購入の話が持ち込まれた1990年代の半ばには、地価下落も一段落していました。「地価は今が底値です。これから必ず値上がりします」という言葉に、大森さんの心は動かされました。「地方都市に掘り出し物の物件があります」との誘いに乗り、行ったことのない遠方の土地を複数購入し、投資用マンションも購入しました。
  一方、東京近郊の土地を多く所有する父親の財産を相続した川村さん(仮名:55歳)は、父親が相続対策として財産のほとんどを土地などの不動産で持っていたため、納税資金に充てる現金を準備するのに、大変苦労しました。それに懲りて、現在、専門家に相談しながら相続対策を進めています。
  確かに土地は金融資産より低く評価されます。しかし、土地を資産として持つことにはマイナス面もあります。今回は2つの失敗例から、不動産による相続対策の落とし穴を見てみましょう。
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