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医療法人の事業承継対策
1級ファイナンシャル・プランニング技能士 三井秀俊
  今回は、一人医師医療法人を中心に、第5次医療法改正前に設立された「持分のある医療法人」における事業承継対策を解説します。
「出資持分」とは一般法人の自社株に相当するもの
  厚生労働省の調査によると、平成24年3月31日時点における医療法人の総数は4万7,825法人です。そのうちの約88%に当たる4万2,245法人が「出資持分の定めのある社団医療法人」(以下「持分のある医療法人」)です。持分のある医療法人は、平成19年4月1日施行の第五次医療法改正以降は新設することができず、現在は、既存法人のみが経過措置的に認められています(新しい医療法人の設立については次月解説予定)。そのため持分のある医療法人の数は平成20年3月31日時点の4万3,636法人をピークに年々減少しています。
  また、持分の定めのある医療法人の多くは、常時1人または2人の医師または歯科医師しか勤務していない「一人医師医療法人」になります。昭和60年の医療法改正によって認められた一人医師医療法人は社会的信用の向上、節税効果への期待もあり、法改正後に数多く設立されましたが、当時設立された一人医師医療法人では医師の高齢化が進み、事業承継が重要な課題になっているところが多くなってきています。
  持分とは、一般法人の自社株に相当するものです。したがって、持分のある医療法人における事業承継では、この持分が相続財産になるため早目の対策が重要になります。医療法では「医療法人は、剰余金の配当をしてはならない」(医療法第54条)と定めているので、医療法人では、毎年の利益は内部に留保され続けます。一般法人と異なり医療法人は、ほぼ毎年が黒字決算であるため、持分の価値が実際の出資額と比較して非常に高くなっているケースが多いです。
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