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役員退職慰労金準備のアプローチ
1級ファイナンシャル・プランニング技能士 三井秀俊
退職後の生活資金確保は、貯蓄より退職所得が有利
  中小企業の経営者の中には、勇退時の退職金を準備していない方もいらっしゃいます。死亡時の死亡退職金・弔慰金は掛金の安い定期保険で準備しているものの、勇退時の退職金を積み立てる資金的余裕がないのがその理由です。このような企業に対しては、経営者の役員報酬を減額して保険料を捻出する方法もアドバイスのひとつとして考えられます。
  資金繰りに窮する企業の場合、すでに事業経費を切り詰めているところが多く、役員報酬を減額して損金算入分が減ることによる影響はあまりありません。また、経営者個人の家計を見ても、年齢的に子供が独立していることが多く、役員報酬の減額が支障をきたすことも少ないと言えるでしょう。
  さらに所得税については、役員報酬の減額分が所得税の減税となり、退職所得は退職所得控除後の2分の1が分離課税されるため非常に有利となります。仮に退職金の額が退職所得控除額と同じであれば、非課税で退職金を受け取ることができます。退職所得の計算式は次のとおりです。
≪退職所得の計算式≫
   退職所得の金額=(収入金額−退職所得控除額)×1/2
◎退職所得控除額
   勤続年数が20年以下の場合………勤続年数×40万円(最低80万円)
   勤続年数が20年を超える場合……800万円+(勤続年数−20年)×70万円
◎退職所得控除の計算例
   勤続25年 800万円+(25年−20年)×70万円=1,150万円
   勤続30年 800万円+(30年−20年)×70万円=1,500万円
   勤続35年 800万円+(35年−20年)×70万円=1,850万円
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