Home > 営業スキル > ブラッシュアップ法人営業

養老保険を「福利厚生保険」として
採用する際の税務上の注意点
1級ファイナンシャル・プランニング技能士 三井 秀俊
「特定の使用人のみを被保険者」としている場合についての誤解
  一般的に「福利厚生保険」と呼ばれている制度は、次のような契約形態を設定することによって貯蓄性の高い養老保険の保険料の2分の1を損金算入することが認められています。
【契約形態】
契約者 被保険者 満期保険金受取人 死亡保険金受取人
法人 役員・従業員 法人 役員・従業員の遺族
  その根拠は法人税法基本通達9−3−4(養老保険に係る保険料)にあります。「法人が、自己を契約者とし、役員又は使用人を被保険者とする養老保険に加入してその保険料を支払った場合には、その支払った保険料の額については、次に掲げる場合の区分に応じ、それぞれ次により取り扱うものとする」とし、区分のBにおいて以下のように定めています。
死亡保険金の受取人が被保険者の遺族で、生存保険金の受取人が当該法人である場合 その支払った保険料の額のうち、その2分の1に相当する金額は資産に計上し、残額は期間の経過に応じて損金の額に算入する。ただし、役員又は部課長その他特定の使用人のみを被保険者としている場合には、当該残額は、当該役員又は使用人に対する給与とする。
*下線は筆者による。
  これを活用した制度がいわゆる「ハーフタックス」と呼ばれている、福利厚生保険として適用される養老保険です。ただ、この契約形態は法人契約の生命保険の定番ではあるものの、関連する税務知識等が不十分な場合が多いようです。
  まず、ただし書以降にある「特定の使用人のみを被保険者」とした場合について、「保険料の損金算入を否認される」と誤解している方が多いことが挙げられます。ただし書にもあるように「特定の使用人のみを被保険者」とした場合は「給与課税」されるため、「経理処理上では損金算入は可能ですが、給与として従業員の所得税の対象となる」と言っているのです。
※ これ以降は会員専用ページです