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業種別に見た中小企業の特性――建設業編
1級ファイナンシャル・プランニング技能士 三井 秀俊
一人親方の組織にアプローチする方法も効果的
  中小企業の代表的な業種の1つが建設業です。今回は建設業の特性について解説します(来月以降に製造業、小売業を取り上げる予定です)。
  この業界は大手ゼネコンが元請となり、その下請けが中小企業で構成され、さらに孫請けは「一人親方」で構成されているケースが多いです。一人親方とは、労働者等を雇用せず自分自身と家族だけで事業を行う事業主のことです。もともとは職人をまとめて仕事が出来る能力を持っている職階を示していました。一人親方が従事する建設業には、大工工事業、左官工事業のほかにも、電気通信工事業、しゅんせつ工事業(港湾・河川・運河などの底面をさらって土砂などを取り去る土木工事のこと)なども含まれます。
  中小企業の建設業にアプローチする場合、一人親方の協力会的な組織を作っているところでは定期的に会合等を行っていることもあるので、会合等に出席させていただいてPRタイムをいただくことができれば、一人親方への提案チャンスが広がります。
下請けになるほど社会保険の加入率は低い
  とくに最近では、一人親方における労務管理上の問題が取り上げられることが多くなっていますので、そのあたりからニーズ喚起につなげるのもよいでしょう。それは、一人親方は事業主でありかつ従業員でもあるため労災保険については特別加入が認められており、国土交通省は加入を促進しています(国土交通省「建設業の社会保険未加入対策について」より)。また、一人親方だけでなく、建設業全体で社会保険加入率の引き上げを国土交通省では課題とし、未加入対策に取り組んでいます。しかしながら、事業主にとっては社会保険に加入することによって負担が発生することから、中小企業建設業の経営者にとって関心の高い問題となっています。
  なお、国土交通省および農林水産省が実施した「公共事業労務費調査(平成25年10月調査)における社会保険加入状況調査結果について」によると、建設業における社会保険(雇用保険・健康保険・厚生年金)の3保険すべて加入している割合は次ページの表のとおりです。
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