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業種別に見た中小企業の特性――製造業編
1級ファイナンシャル・プランニング技能士 三井 秀俊
貿易赤字が及ぼす影響
  先月号では中小企業の中の建設業について特性を紹介しましたが、今回は製造業の特性について紹介します。ただし、一言に製造業と言っても、食料品製造業・生産用機械製造業・金属製品製造業などがあり、それぞれ全く違う業種であるがごとく特性についても異なる部分が多くあります。そのため細分化した製造業の特性を紹介することは困難になりますので、製造業に共通する代表的な特性についてのみ紹介することにします。
  経済産業省製造産業局「製造業をめぐる現状と課題」(平成26年3月)によれば、平成25年は過去最大の貿易赤字に陥っており、輸出額のうち90%を占めるのが製造業です。所得収支のうち黒字額は増加傾向にありますが、貿易赤字の拡大分を埋めるに至っていないのが現状です。それに伴い経常収支の黒字額は過去最少の3.3兆円に留まっています。このような状況において日本経済の稼ぎ頭である製造業の課題は次の5点となっています。
   @ 燃料輸入の増大(原発停止による)と電気機器(エレクトロニクス産業)等の輸出力の低下を要因に、過去最大の貿易赤字に直面している。
   A 海外事業投資の拡大に伴う所得収支の黒字増加やロイヤリティ収入の増加に伴うサービス収支の赤字縮小は進行しているものの、貿易赤字の拡大分を埋めるには至っていない。
   B 稼ぎ頭である製造業、中でも三本柱とされてきた電気機器の低迷が顕著であるが、輸送用機器や一般機械についても、過度な円高是正による輸出増大の効果はまだ見られていない状況。
   C 特に、海外生産移転(特にアジア)が進んだことにより、資本財や部素材を通じた大幅な輸出増加を期待しにくい構造にあることに留意が必要。
   D こうした中で、為替の安定、輸出先景気の改善(特に米国や欧州)や海外新規顧客の開拓等により、今後の輸出増加を期待する声が多い。
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