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業種別に見た中小企業の特性――小売業編
1級ファイナンシャル・プランニング技能士 三井 秀俊
「売上げが低迷している小規模経営の店が多い」のが実態
  業種別に見た中小企業の特性として、これまでに建設業・製造業を紹介しましたが、今回は小売業の特性を紹介します。製造業とは逆に小売業は規模の小さいところが多いです。また、10数年前までは、商店街の開拓等で生命保険営業にとっては訪問しやすい事業形態でありましたが、大規模商業施設の増加に伴いシャッター商店街などが増加しており、「小規模小売店=不況業態」との認識が高まり、小売店へのアプローチも減っているのが現状ではないでしょうか。
  まず、日本経済における流通業(卸・小売業)の位置づけですが、「我が国流通業の現状と取組・課題について」(平成24年4月 経済産業省)によれば、流通(卸・小売業)の国内総生産全体に占める割合は 12.6%であり、製造業、サービス業に次ぐ大きさになっています。労働力調査によると、流通業の就業者数は約1,057万人で全産業雇用者数の16.9%を占めており、2010年には製造業就業者数を超えています。
  また、「商業販売統計」によると、小売業(自動車販売や家電販売を含む)の販売額は約139兆円(2013年)と前年に比べ若干増加しましたが、1996年をピークにその後の推移はピーク時の水準には達していません。業態別では、百貨店・総合スーパーの売上が減少傾向にある一方、コンビニエンスストア、ドラッグストアや通信販売事業(インターネット取引等)が増加しています。しかしながら、小規模の小売店については小売業の全体の数字より、さらに低迷しているのが実態ではないでしょうか?
  ここでは、百貨店や大規模スーパー・コンビニ等を除く中小企業の小売業(卸売業を含む=流通業)について解説しますが、中小企業基本法の定義によれば、中小企業に該当する小売業は、資本の額又は出資の総額が5千万円以下の会社並びに常時使用する従業員の数が50人以下の会社及び個人となっており、従業員規模では、製造業の300人以下、卸売業・サービス業の100人以下に比べて最も小さな規模になります。
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