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前回ご紹介した自動車の営業マン鹿子島信夫さん(有限会社カー・リンケージ 代表取締役)には、「お客さまに仕事を教わった」と振り返る、営業人生の転機になった失敗があるといいます。
今回は、営業職に限らず、誰にとっても勉強になる、そのエピソードをお話ししましょう。
もう数十年も前、トヨタ系ディーラーのメカニックだった鹿子島さんが、20代後半で営業職に転じて間もない頃の話です。
あるとき、ショールームで商談していた年配のお客さんから、「俺が乗ってきたクルマがいくらになるか見てほしい」と言われた鹿子島さんは、30メートルほど離れたところに停めてあった白の古いコロナを一目見るなり、その場で、「申し訳ありませんが、あのモデルはもう値段が付きません」と返しました。
するとそのお客さんは、とても気分を害したような表情で、ただし、怒るというよりは、学校の先生が生徒を諭すようにこう言ったそうです。
「君はまだ若いから言うが、相手がどんな気持ちでそのクルマに乗ってきたのかを、見もしないでわかるのか?」
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