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カウンセリングを勉強するようになった理由
有限会社T.S総合企画 代表取締役 津田 秀晴
  私がカウンセリングを勉強するようになったきっかけは、大きく分けて2つありました。
  まず、1つ目は、カウンセラーの資格を持っている友人のライフプランナーから、カウンセリングの勉強会に誘われたことです。
  実際、これはとても勉強になりました。
  一般的にカウンセリングは、まず相手と信頼関係をつくり、自分と一緒に解決策を探していくことに同意してもらってからスタートします。相手の話を先入観なく聴いていき、本当の悩みや原因を見つけて、そのうえで、相手の中から答えを見つけていくわけです。
  一見よく似たものに、私自身もかつてやっていた「友人による人生相談」がありますが、これの悪いパターンは、相手の話をろくに聴かずに「こうしたほうがいい」「ああしなければダメ」などと、自分の意見や価値観を押し付けてしまう傾向があることです。
  私が勉強会で学んだのはごく初歩的なスキルでしたが、他人の話をきちんと傾聴することの大切さがわかっただけでも、当時の私にとって周囲の人間関係が改善されたと思います。
  と、そんなことを実感しつつあるときに、2つ目のきっかけとなる事件が起こりました。事件というと大げさですが、仕事の中でかなりショックなことがあったのです。
  当時の私は業界紙の記者をしており、あるトップ営業マンを取材しているときに、用意していった30ほどの質問項目に沿って自分の聴きたいことをどんどんぶつけていきました。思いもよらぬことに、後半戦に入った頃にその方が「なんか尋問されているみたいだなあ……」と困った顔でつぶやいたのです。
  私はそれを聞いて、冷や水を浴びせかけられた気分になりました。
  当時の私は、60分なり90分なりの与えられた時間内に、聞き洩らしのないように取材しようと思う気持ちが強すぎて、よけいな雑談も極力しませんでしたし、用意していった質問項目に「済」の印を付けることに一生懸命になっていました。
  いい記事にするには、取材に協力してくれた相手に気持ちよく話してもらわなければいけないのに、実際にしていたことは、相手を身構えさせ、不快にさせることだったわけです。これでは、いい話など聴けるわけがありません。本末転倒とは、まさにこのことでしょう。
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