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相手のエネルギーが上がった瞬間を見逃さない
有限会社T.S総合企画 代表取締役 津田 秀晴
  今年、ある企業の社長さんにインタビューさせていただく機会がありました。
  その社長さんには、起業した理由や経営理念、成功を呼び込んだ独自の経営戦略などをお聞きしたのですが、それを記事にまとめる際に、物書きとして初心に帰ることになった出来事があったのです(ちなみに私のキャリアは23年になります)。
  これは商談の中でお客さんとの心の距離を早く縮めたい営業マンの方にも参考になる話だと思いますので、今回は恥ずかしながら私の失敗談をご紹介したいと思います。
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  取材原稿をまとめるにあたっていつも頭を悩ませるのが、《紙幅が限られる中で、インタビューのどこを切って、どこを採用するか》という問題です。
  もっとも、正確に言えば、頭を悩ませていたのはまだキャリアが浅い頃の話であって、今では記事として必要な(求められる)部分をテキパキと仕分けることができるようになっているのですが、そこに落とし穴がありました。
  原稿を書き上げた後、その取材の現場に私の秘書として同行していた妻に読ませてみて感想を尋ねたところ、彼女は一読するなり、「どうして○○の話がカットされているの?」と不服そうに言いました。
  それは、その会社のお客さんとの心温まるやりとりを、社長さんが嬉しそうに語った部分でした。
  私も良い話だとは思ったものの、読者にとって重要な情報は他にもあり、ギリギリまで迷った末にそこを割愛して別のエピソードを挿入していたのです。
  しかし、コーチングの国際資格やアロマセラピストの資格を持っている妻は、その事情を理解したうえでこう反論しました。
  「私が横で聞いていて、あの社長さんのエネルギーが一番上がったのが、この話をしているときだった。この部分が原稿に入っていなかったら、きっと残念に思うんじゃないかしら」
  そう言われて、改めてインタビューの録音を聴き直してみると、私もやはりその通りだと気づきました。
  経営戦略には直接関係ないことであっても、その社長の経営理念や思いを表すエピソードとしては欠かせないものであったのです。
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