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私がまだ20代半ばの頃の話です。
ある夏の日の午後、恩師のお宅にうかがうと、何人かのお客さんが遊びに来ており、そのなかに近所に住むおばあちゃんがいました。
私は初対面ながらもそのおばあちゃんと話が弾み、話題はいつしか彼女の幼少期の思い出や戦時中の辛い体験へ……。記憶から呼び覚まされた当時の地元の話に深く聞き入るうちに、ふと気がつくと夕方になっていました。4時間以上も話したことになります。
とても興味深い話でしたが、さすがに長すぎて一緒に聞いていた他のお客さんたちはすっかり疲れた様子です。
その空気をおばあちゃんも感じ取ったのでしょう。私に対して、「こんなに長く私の話に付き合ってくれてありがとうね」と、こちらが恐縮するぐらい感謝してくださいました。
私はそのとき、熱心に話を聞いてもらえると人はこれほど喜んでくれるものなのか――と実感したことを覚えています。
お盆休みの最中、すでに亡くなっている祖母のことを思いつつ、なぜかそのときのおばあちゃんの話を思い出したこともあり、今回は、この話に絡めて話題を進めましょう。
ところで、私は以前、雑談に関する本やほめ言葉に関する本※1を書いていることもあって、友人たちから、「自分が全く興味のなかった分野の話を楽しんで聞く(もしくは、さも関心があるように見えるように聞く)にはどうすればいいの?」と質問されることがあります。
本サイトの読者の方々には釈迦に説法だと思いますが、私は、そのために次の二つのことが重要だと思っています。
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