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トップセールスパーソンの雑談力(中編)
有限会社T.S総合企画 代表取締役 津田 秀晴
  前回からの続きです(このテーマのきっかけとなったビジネス誌『THE 21』(2016年5月号)の雑談力に関する記事も併せて参考にしていだたければ幸いです)。
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  私は若い頃(今でもそうですが)とても口下手だったので、出版社の営業として顧客先を訪問しても、その後、転職して記者として取材相手を訪ねても、場を和ませる(アイスブレイクの)ための世間話がまったくできませんでした。
  いざ本題に入ってしまえば特に困ることはなかったのですが、席に着いた後のギクシャクした感じがどうにも苦手でした。だから、同行した上司がそつなく会話して、ごく自然に本題に入っているのを横目で見て、とても羨ましく感じたのを覚えています。
  そんな自分にとっては、保険のトップセールスパーソンの方々から教わったいくつかの方法が大きな救いになったのです。今回は、そのなかからすぐに取り組める“教え”を、3つほど紹介しましょう。
  1つ目は、「世間話なんて、できなければ別にしなくてもいい」と開き直ってしまうことです。
  もちろん、できるに越したことはないのですが、《世間話ができなければ仕事ができないわけではない。いきなり本題に入ればいい。それに、会った直後に気の利いた会話ができなくても、数十分も商談を進めていく間に、その内容に沿った形で必ず雑談になるから大丈夫》――というわけです。
  たしかに、1時間なり2時間なり話をして、その全てが「仕事の本題」であるわけではありません。私の場合も、最初の歓談ができないだけで、思い返してみれば、面談の途中では脇道に逸れた話題で盛り上がっていることがよくありました。
  コミュニケーション能力の高い人は、すぐに旧知の仲のように話すことができますが、自分にはそれができませんでした。できないならば、いきなり本題を話しながら、そして、時間と回数を余計にかけて心の距離を近づければいい、と割り切ったのです。
  そうやって考えると、最初にギクシャクしても気持ちに余裕ができて、徐々に世間話もできるようになっていきました。
※ 初対面の人同士が出会う時、その緊張を解きほぐすための手法(研修用語)。
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