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トップセールスパーソンの雑談力(番外編)
有限会社T.S総合企画 代表取締役 津田 秀晴
  前回まで、3回にわたってトップセールスパーソンの雑談術について思うところを書いてきました。
  今回はその後日談の意味合いで、このシリーズの連載中に私が経験した雑談の顛末を2つご紹介したいと思います。
  1つ目は、前編で取り上げた「名前の由来について尋ねてみる工夫」に関する話です。
  先日、行きつけの美容院(Hair Defi:小田原市鴨宮)を久しぶりに訪れたときのこと。いつもカットをお願いしている女性オーナーの方から、今度二号店を出すことにしたという話を聞きました。連載に自分で書いておきながら、私はこちらの店名の由来をまだ伺っていなかったことを思い出し、「そういえば、Defi(デフィ)とはどういう意味なんですか?」と尋ねてみたのです。
  すると、そのオーナーさんは「フランス語で『挑戦』という意味なんですよ」と教えてくれました。彼女によれば、そのお店は十数年前、専業主婦をしていたときに弟さんと一緒にゼロからつくったものであり、まさに自分の人生への挑戦だったのだそうです。
  そんな話をしながら、オーナーは創業当時のことや、二号店を出すにあたっての苦労や新たな挑戦への思い、将来の夢など、普段の軽い雑談ではあまり聞くことのできない事柄を語ってくださいました。
  ちなみに、二号店「chambre de Defi」(シャンブルは『部屋』の意味)は、神奈川県二宮町の海岸沿いの高台にあり、湘南の海を正面に見ながらカットしてもらえる素敵なお店です。
  敢えて街中を離れ、景色の良い静かな場所につくったのは、一号店で挑戦をする中で、外見だけの美しさだけではなく、心の豊かさや穏やかさなど、トータルとしての輝きを考えられるようになったからだといいます。
  「お客様が、少しでも日常を忘れて豊かな気持ちや優しい気持ちになっていただけるように、私たちも日々精進していきたい。そのためにスタッフ自身が輝けるよう、私もまた日々挑戦です」(女性オーナー)
  私は、そのオーナーの語るエピソードを尊敬と感動の気持ちで聞くと同時に、行きつけのお店とそこのスタッフさんへの愛着がいっそう強くなった気がしました。
  もちろん、社名や店舗名の由来を伺えば、常にこうした展開になるというわけではありません。しかし、名前に対して創業者の強い思いが込められていた場合には、健全な好奇心を持って率直に尋ねてみると、私のような口下手な人間でも、深くて“イイ話”になることが多いのです。
  ところで、雑談の中には当然失敗した(あまりうまくいかない)ケースもあります。しかも、私が最近経験したのは、自家製の“べからず集”に明記しているような、典型的な失敗でした。これが2つ目の話です。
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