Home > 営業スキル > 心をとらえるセールストーク術
 
「保険に入ったほうがいいのはわかるけど、お金がない」と言われたら?
ファイナンシャル・プランナー/なごみFP事務所 竹下さくら
  ここ数年、手取りが大幅に減って貯蓄ができない人が急増中です。金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査(2012年)」によると、貯蓄ゼロの世帯は、二人以上の世帯の26%※1、単身世帯の33.8%※2を占めています。
  そのため、「ただでさえ貯蓄もできない状況なのに、保険なんて無理」という答えが返ってきても不思議はない状況にあります。
「保険で貯蓄するという方法もあります」と返してみよう
  「保険に入るお金がない」という答えをいただくとき、その人の心のどこかに「保険はおつきあいで入るもの」という意識があるケースがほとんどです。ゆとりがないからボランティアする余力はないよ、というわけです。いくら保障の必要性を説いても、受け入れてもらえる心理的・経済的な余裕はないのが通常です。
  けれども、よく考えてみれば、貯蓄がない今だからこそ、逆に保険が必要なはずですね。事故に遭ったり病気になったり入院したり何かあったとき、そこそこの貯蓄があればなんとかなるものですが、そのアテとすべき貯蓄がないときこそ保険で備えるのが合理的です。せっかく知り合った人が、保障が必要な状態にあるわけですから、なんとかしたいところです。
  そこで、話の切り口を変えて、「保険で貯蓄するという方法もあります」と言ってみるのも一策です。たとえば、子どもの学資保険を提案することによって世帯主の保障額の底上げを図ったり、生存給付金付きの保険や、払った保険料よりも多く受け取れる終身保険などなど、希望を聞きながら何らかの貯蓄性を含む保険で提案してみると良いでしょう。
  必要保障額をもとにジャストフィットする保険を提案できれば、もちろんそれがベストです。けれども、それがかなわぬ時、「保障なし」という最悪の事態を防ぐ視点からのアプローチも有りと考えます。
  その際に気をつけることは、いま提案した保険だけでは決して保障額は十分ではなく、今後に見直しが必要なことを必ず伝えておくことです。今現在は貯蓄がなかったとしても、これから先ずっととは限りません。最近は、アベノミクスの影響で、景気改善への期待感もほんのりと広がりつつあります。
  大事なのは、保険に入るゆとりがないと聞いたときに、見込みがないからとそっぽを向くのではなく、貯蓄がないという不安の解消に寄り添う姿勢を見せることで、今後のアクセスの糸口をこの機会に結んでいくことです。保険はもともと定期的な見直しが必要なものですから、まずは保障ゼロをイチにする割り切りも大切なのではないでしょうか。
※ これ以降は会員専用ページです