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労災事故や社員の自殺で会社の過失が認定された!
巨額の賠償請求は保険で補償できるの?
1級ファイナンシャル・プランニング技能士 水谷 力
  昨今メンタルヘルスに不調を抱える社員がいる事業所も少なくなく、このような社員が増加傾向という企業の話もよく聞きます。もし長時間労働や過重労働の影響でメンタルヘルスに不調を抱える社員が自殺したり長期療養となった場合、会社の過失が認められ、巨額の賠償責任を負担することになったら、その会社の経営はどうなるのでしょうか?
  このような、社長にとって関心の高そうな話題から保険の話題に入るのも効果的です。一般に人は保険の知識にとどまらず、保険に関連した周辺知識にも詳しい人を信頼する傾向があるからです。ここが、単なる世間話から生命保険の話題に入る方法と異なる、効果的なアプローチトークのポイントです。今回は「使用者賠償責任保険」の話から生命保険につなげる方法を紹介します。
自殺した社員の遺族から、
会社が1億円の賠償請求を受けたとしたら…
  最近は「アベノミクス」がもてはやされていますが、長きにわたる不況下から多くの企業が経営の効率化や経費節減を追求し、できるだけ少ない人数で日々の業務をこなしているのではないでしょうか? この手法は、短期的には経営の効率化の点で一定の成果を挙げつつも、一方で長期的に見た場合、労働環境を著しく悪化させるケースもあります。
  現在、メンタルヘルスに不調を抱える社員がいる事業所は半数以上にのぼり、3年前と比較して、メンタルヘルスに問題を抱えている社員が「増加傾向」「やや増加傾向」という企業が3割を超えています※1。このような環境の下で会社が抱えるリスクについて見てみましょう。
  まずは、労災の認定や厚生労働省のメンタルヘルス対策に大きな影響を及ぼしたとされる「電通事件」です※2。これは、社員の過労自殺に企業の損害賠償責任を初めて認定した画期的な判決とされ、1億円を超える損害賠償金が認められました(最終的な損害賠償金は和解により約1億6,800万円)。ちなみに、この判決では自殺者本人の過失は否認され過失相殺はありませんでした。この判決以外にも、過労死や過労による自殺に関する訴訟が急増しています。このような状況に対して会社はどのような対策をとればよいのでしょうか?
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