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 第6回
犀利さいりな分析から入っていますか?
キーストーンフィナンシャル株式会社 代表取締役 大坪 勇二
  前回は「これから必要なのは、1)共感して、2)ビジョンを共有して、3)解決に向けて一緒に行動すること」であり、つまり「セールスでなく、ナビゲーションをすること」なのだということをお伝えしました。今回はこのことを取り上げていこうと思います。理解を深めるために、少し別の角度から見てみましょう。
(犀利……才知が鋭く、物を見る目が正確であるさま)
「新史太閤記」から学べること
  さて、国民的作家である司馬遼太郎氏のことはご存じの方も多いかと思います。
  数多い彼の作品群の中に「新史太閤記」というものがあります。私はとりわけこの本を愛していて、20代の半ばに出会ってから、もう数百回ほども読み返しています。あまりに読み返し過ぎてボロボロにすりきれページも落ちてしまい、今手元にあるのは3代目です。
  太閤記と言えば、ご存じ後の豊臣秀吉である藤吉郎が戦国の世を舞台にスピード出世していく爽快な物語ですが、なぜこれほどまでに私が本書に耽溺しているかというと、これがなかなか、そこらのビジネス本など足元にも及ばないほど、ビジネスの真髄がちりばめられたものだからなのです。
  日々の仕事で迷った時、袋小路に迷い込んでモチベーションを失ってしまった時、本書を読み返して、再び瑞々しいエネルギーを取り戻したことが何度あったことか。
  で、物語の中で、今回のテーマである「1)共感して、2)ビジョンを共有して、3)解決に向けて一緒に行動すること」について、語られている部分があるのです。
  場面は「本能寺の変」後、巨大な織田家の事実上の相続権を巡って、秀吉と柴田勝家が対立を深めているところです。事態は一触即発、味方を増やし敵を減らす多数派工作に火花を散らしています。
  現代に例えるならば、秀吉は学歴はないものの抜群の実績と有能さでバイトから抜擢されスピード出世してきた新任取締役、一方で柴田勝家は新卒で入社し、社長に忠実に仕えて出世の本流を歩いてきたエリート実力副社長。この両者が、独裁者として君臨してきた創業経営者(織田信長のことです)の急死に伴う次期社長の座を巡って権力闘争を繰り広げている、といったところです。
  本拠地が北陸であるため、冬の間は軍事行動ができず、動きの速い秀吉側の後塵を拝して、やや焦り気味の柴田勝家は、逆転を狙って徳川家康に工作の手を伸ばします。
  さしずめ、徳川家康は、急死した先代社長と盟友関係にあった、最重要の事業提携先企業の社長、といったところでしょう。
  権力闘争の圏外にある、実力者・徳川家康を味方につけた方が圧倒的に有利になるのは間違いありません。
  柴田勝家は遠征先の家康に使者を送ります。家康はそんな勝家の思惑などとっくに見とおしています。
  以下、多くの日本人を魅了してきた司馬遼太郎氏の名文をしばし引用してみましょう。
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