Home > 営業スキル > そろそろ本気の保険販売!自分の殻を破る10の法則

 第7回
コラム 仕事の真価が試される日
キーストーンフィナンシャル株式会社 代表取締役 大坪 勇二
  今回は、大きな保険契約をいただくノウハウ、といった話題はちょっとお休みして、私たちの仕事の真価、という部分に焦点を当ててみたいと思います。
お客さまの訃報に接してまず心に浮かぶこと
  私が生命保険販売の世界に入ったのは30代前半のとき。
  当時契約してくれた方の多くは同年輩でした。保障を売った方も買った方もまだまだ健康で、若かったわけです。だから、正直なところ、「死」というものに対して、完璧にリアリティを持っていたかというとそれはウソになります。
  それは契約者も同様だったでしょう。お互い厳粛な顔をして「万が一」の時のことを話していましたが、それが起こるのは、ずーっと先のこと、という暗黙の前提が気持ちの底にはあったと思います。事実、統計データ上では、日本人が60歳以前に死亡する率は極めて低いのは確かです。だから、加入時点で健康な人は、長生きする前提でプランを立てた方が合理的と言えます。
  ですが、ですが、ですが、分かり切った生物学的な説明ですが、人は必ず死ぬのです。統計値がどうであれ、若くして亡くなる人は一定数存在します。亡くなった本人、また遺族にとってみたら、そんな統計値など何の意味もありません。まったくの価値ゼロです。
  さて、私の個人的な話にちょっとばかり付き合ってください。
  つい先日、私の生命保険のお客さまの「お別れの会」が代々木でありました。私が主宰している講座の当日でしたが、もちろん中座して喪服に着替え、出席してきました。
  亡くなったのは、私が最初に勤めた会社の一年先輩のOさん。奥様とまだ小学生の愛娘を残してのあまりにも突然の死に言葉もありません。東大法学部出のエリートなのにそれを全く鼻にかけず、そればかりか周囲の人を喜ばせるのが好きな、心やさしい先輩でした。
  さかのぼること2週間前、奥様から当社に訃報がもたらされました。保険のお客さまの突然の訃報に接すると、担当者としてまず心に浮かぶのは、
  「ちゃんと保障をつけてたかな」
  という不安です。このときもそうでした。
  合理的な保険の掛け方がどうとかいう理屈はこの際まったく意味を失い、残された奥様にいったいいくらのお金を残せるか、それが最重要事項になります。だって、その金額を奥様に告げるのは私自身ですからね。
  Oさんがご加入頂いた時はご結婚直後で、まだお子様が生まれていなかった時期でもありました。そういう場合、私はたいてい、掛け捨ての保障額部分を抑えて、将来に向けての積み立て部分(終身保険)を厚くする提案をしてきました。
  そうすると、当然ながら足元の死亡保障、すなわち今回奥様にお届けできるお金は薄くなります。たしか、お嬢さんが生まれた時、見直しをしたはずですが、そこのところの記憶がやや曖昧です。全ての業務を中止し、パソコンを立ち上げるのももどかしく、保障内容を確認します。
  (ちゃんと保障をつけてなかったらどうしよう…)
  自分の仕事の真価を問われる瞬間です。
※ これ以降は会員専用ページです