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アパートやマンションの建築の際に
避けては通れない「建築基準法」「都市計画法」
相続ジャーナリスト/相続支援ネット 代表 江里口 吉雄
アパート建築とマンション建築の違いは何か
  郊外型地主さんの所有する土地はおもにアパート建築用地になり、都市型地主さんの所有する土地はおもにマンション建築用地になると言われているが、その具体的な理由について知らない方も多いであろう。
  アパートやマンションを建築するには、建築基準法と都市計画法は避けては通れない。アパートおよびマンション建築における建築基準法と都市計画法のキーワードとしては次の項目がある。@建ぺい率(建坪率)※1、A容積率※2、B防火指定※3、C道路斜線制
※4、D北側斜線制限※5、E共同住宅における避難通路の6項目が重要である。
  郊外型地主さんの土地の多くは、都市計画法上の用途地域が「第一種低層住居専用地域」となり一般的に建ぺい率が40〜50パーセント、容積率が80〜100パーセントという大変厳しい規制のため基本的には低層住宅と呼ばれる2階建てのアパートの建築になる。それに対して都市型地主さんの土地の多くは、「第二種住居地域」や「近隣商業地域」といったいわゆる中高層建築が可能な土地である。その場合は建ぺい率が60パーセント以上、容積率が200〜300パーセント以上になる場合が多く3階〜5階のマンション建築が可能になってくる。
  この容積率が土地の価値を何倍にも化けさせる大きな要因でもある。同じ郊外の土地でも容積率が100パーセントの土地が坪60万円であった場合に、近くの容積率が300パーセントの土地は坪180万円の価値が出てくる。地上げ屋さんという土地の仕入れ業界では、マンション建築用地の値段を1種何百万円と呼ぶことが多い。
  例えば容積率300パーセントの土地が坪180万円であれば容積率100パーセント当たりの換算でいくと3分の1の60万円になり、その土地は1種60万円と言われる。郊外ではなく都心の土地の場合には、さらに収益還元方式による土地の値段も導入される。都市型地主さんの土地の利回りは10%以上ある。これは、賃貸マンションを建築すると投資した建築資金の賃料収入としての利回りが10パーセント以上ということになる。郊外型地主さんの土地の利回りは5パーセント程度まで下落するのでアパート建築は、ある意味ではリスクが高いと言えるかもしれない。ということで、アパート建築とマンション建築の違いは容積率が大きな要因である。
※1  建ぺい率とは、敷地面積に対する建築面積の割合のこと。建ぺい率=建築面積/敷地面積。
※2  容積率とは、敷地面積に対する建物の延床面積の割合のこと。容積率=延床面積(床面積の合計)/敷地面積。
※3  都市計画法において「市街地における火災の危険を防除するため定める地域」に指定されていること。
※4  道路斜線制限とは、敷地が接している前面道路の反対側の境界線から一定の勾配で示された斜線の内側が、建築物を建てられる高さの上限となり、用途地域によって勾配の値が決まっている。
※5  北側斜線制限とは、北側隣地の日照の悪化を防ぐため、建築物の北側に課せられる制限。
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