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営業スキル
> お客さまをつくる方法はこんなにある!
第4回
嫌な客はライバルにくれてやれ!
キーストーンフィナンシャル株式会社
代表取締役 大坪 勇二
目の前に現れた顧客を一人残らずお客にする必要はありません。あなたの価値に気付かない愚かな客はライバルにくれてやりましょう。
苦労はライバルに任せればいいのです。
あなたは浮いた時間を使って、理想のお客さまと出会うことに全力を投入しましょう。
■
お客さまは神様なんかではない
20年近くも保険屋をやっていると、いろんな見込み客に出会います。
例えば、
約束を守らない人。
言うことが会うたびに変わる人。
ケチな人。
配慮、思いやりのない人。
もちろん、そうでない人の方がはるかに多いのですが、何しろ大勢の人間と会うのが保険営業マンですから、それでも10人に1人くらいはこういう人と出会うことになります。
「お客さまは神様です」と、前の東京オリンピックのころに故三波春夫氏は歌っていましたから、最初のころはそういうものかと思い、前述のような人たちとも我慢して付き合っていました。そもそも契約が欲しかったですからね。
ところが、あるときに気付いたのです。
この手の人たちと我慢して付き合っても全くペイしないことに。
例えばこんなことがありました。
冬のある寒い日、紹介で伺ったのは渋谷区松濤の山手通り沿いにそびえ立つ高級マンションでした。職業は外資系金融マン。
大型契約の予感に、私が思わず期待に胸を膨らませたのは理解してもらえると思います。
待ち合わせはマンションの豪華なロビー。
しかし、指定の時間に出向いたにもかかわらず、一向に先方が降りてくる気配はありません。
私は冷え切ったロビーで、屈伸運動をして何とか体を温めていました(結局、そこで冷え切ったのがもとで大風邪をひいてしまいました)。
待つこと30分。ようやく本人が降りてきました。
一言も詫びの言葉はなし。
ここで最初の違和感を感じましたが、≪まあいいや、契約さえできれば≫と私は敢えてそれを無視しました。
その後商談が進み、いよいよ提案の運びとなりました。
ところが……
提案書の金額を見た彼の表情がたちまち険しくなりました。
彼は、1円も余分にお金を払いたくないというタイプ。
平たく言うと、ケチ。
彼の収入レベルから見たらむしろ安いくらいの金額なのに、他社と比較して細かな点で難癖をつけてきます。頭が良くて情報はいっぱい持っているので、よけい始末が悪い。
商談はそれで完全に暗礁に乗り上げ、にっちもさっちも進みません。
それならそれで断ってくれればいいのですが、二度三度と呼び出されそのたびに新しい案の提示を求められました。
最初に感じた違和感はだんだん強くなってきます。
あるとき、その違和感の正体に気付きました。
「あ、この人、情が薄いんだ」
他人に対する本質的な意味での配慮が欠けているばかりか、家族のために保障という形でお金を掛けることもなるべく避けようとする。
その一方で、体よく情報だけ引き出そうとする。
「情が薄い」という言葉がぴったりくる人でした。
私はこの手の人が全くダメです。
近寄りたくもありません。
結局、4回目の打ち合わせのときに、私は思い切ってこう告げました。
「申し訳ありませんが、商談はこれきりにさせていただきます」と。
彼は黙っていました。
或いはもうひと押しか二押しで契約に結び付いたでしょうか。
私はそうは思いません。
最後まで情報だけ吐き出さされ、その挙句ヨソと契約、そんな結末だったと思います。
■
お客さまを選んだ結果は…
この体験以降、積極的にお客さまを切るようになりました。
「お客さまは神様」なんてクソ喰らえ。そういう人たちは、きっと私以外の誰かの神様なのでしょう。
そうするうちに、面白いことに気付きました。
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