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あなたの説明はなぜわかりにくいのか?
有限会社T.S総合企画 代表取締役 津田 秀晴
  生命保険のセールスの現場で、お客さまから「よくわからない」と言われたり、面と向かって言われなくてもおそらくよく理解いただけていないため「検討してみる」と言われたようなことはありませんか? それはあなたの説明が《わかりやすくなかった》からです。第2回目に取り上げるのは、リー・ラフィーヴァー氏の『わかりやすく説明する練習をしよう。』です。
 『わかりやすく説明する練習をしよう。
 伝え方を鍛える コミュニケーションを深める』
   リー・ラフィーヴァー著
講談社刊
  庭田よう子訳
1,800円+税
“説明”は誰でもできて当然!?
  以前、ある保険セールスパーソンから、こんな主旨の話を聞いたことがあります。
「セールスにおいて笑顔はとても大切で、その重要性はみんな知っているが、実際に毎日鏡に向かって“プロの笑顔”を身に付ける努力をし続けている新人さんは少ないと思う。わかっていることと、できることは違う。自分は今でもデスクの上に鏡を置いて、常に自分の表情をチェックしている」
  笑顔というのは、特に練習しなくても誰でもできるものなので、毎日毎日訓練するほどのことではないと思っているセールスパーソン(新人さん)が多いのでしょう。ありきたりの笑顔ならそれでいいでしょうが、初対面の人をも魅了するような“プロの笑顔”となると話は別です。
  同じことは、「話すこと」「説明すること」にも当てはまります。ひととおり話すこと、説明することなら誰にでもできますが、では、商品そのものは目に見えず、購入(契約)の時点では商品の良さを実感できない生命保険を説明する場合はどうなんでしょう?
  保険セールスは他の分野に比べて社員教育が充実している方だと思いますが、“わかりやすい説明の技術”を、個人レベルでも研究し、訓練を欠かさないセールスパーソンがどれくらいいるのか?――と考えると、成績上位層の方々を除いて、その数は案外少ないのではないでしょうか。
  それは「話すだけ」「説明するだけ」なら、誰でも自己流で一定レベルのことはできてしまうからです。
  今回紹介する『わかりやすく説明する練習をしよう。』の著者であるリー・ラフィーヴァー氏も、その問題について「ランニング」を例に挙げてこう指摘しています。
《誰でも走り方を知っていて当然だと思っていたように、僕たちはみな“説明”を、誰でもできて当然だとみなしている。何かを伝えるときにごく当たり前にしていることだから、説明が改善可能で目標達成に活用できるスキルだとは、思いもよらない》
  つまり、自分が望む成果を挙げたければ、わかりやすい説明のための正しいスキルを学ぶ必要があるということです。
  ラフィーヴァー氏は、コモンクラフト社という動画制作会社の創設者。グーグルやインテル、レゴ、マイクロソフトなど名だたる企業のサービスに関する説明動画を制作している、いわば、わかりやすい説明のプロフェッショナルです。
  同書は、著者がこれまでに培った“わかりやすい説明のスキルとノウハウ”を、具体的に、わかりやすくまとめたものですが、その帯には、こんな効能が書かれています。
  @知識がない人に「興味をもたせる説明」ができるようになる。
  Aプロをうならせる「論理的な説明」ができるようになる。
  B自分の知識を整理し、理解を深めることができる。
  例えば、著者は“説明”について、こう解説します。
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