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あなたの成功法則、じつは“鰯の頭”かも!?
『その科学が成功を決める』
有限会社T.S総合企画 代表取締役 津田 秀晴
その理論、学説、ホンマでっか!?
  皆さんは「メラビアンの法則」という言葉をご存知でしょうか?
  ビジネスの研修などでお聞きなった方も多いと思いますが、これはコミュニケーションに関する有名な法則です。
  その内容を私なりにざっくりまとめると、
   人間は相手の話を聞くときに、言葉の内容よりも、話し方や服装や表情などに強く影響を受ける
   具体的には、話の内容=7%、声・話し方など=38%、見た目=55%の割合である
――となります。
  つまり、相手に何かを伝えたいときには、言葉以上に非言語のコミュニケーション(見た目とか身振り手振りとか)が圧倒的に重要だというわけです。
  そう言われるとそんな気もしますし、私自身もある時期まではこの法則を他人に話していましたが、実はこの「メラビアンの法則」は存在しないのだそうです。
  詳しくは『反社会学講座』(パオロ・マッツァリーノ著、イースト・プレス刊)をご覧いただければと思いますが、「メラビアンの法則」を提唱したとされるメラビアン博士が行った実験は、ある単語を被験者に聞かせるだけの、ごくごく単純なコミュニケーションに関することであり、複雑な話を伝えるときに適用できるような話ではないのだとか。
  よく考えてみれば、見た目よりも言葉の内容の方が圧倒的に重要なのは当たり前ですが、それらしい数字も示されているし、何よりも、他人に話しやすいネタなので、私も使わせていただいていたのでした。
  となると、メラビアンの法則のほかにも、ビジネスの世界で定説とされている「成功法則」や、多くの人が聞かされたことのある心理学の理論などについても、似たような例はまだまだたくさんありそうです。
  それらを鵜呑みにするのではなく、一応は「ホントか?」と疑ってみることは、自分の理解を深めることにもつながりますし、より効果のある方法を学ぶ動機付けにもなります。また、ただの都市伝説だとわかれば、それも雑談のネタになりますよね。
  その意味で、前掲『反社会学講座』のほかに私が興味深く読んだのが、今回紹介する『その科学が成功を決める』(リチャード・ワイズマン著、木村博江訳、文藝春秋:文庫版もあり)です。
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