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 第2回
投資信託や国債って,相続のとき当然分割なの?
弁護士/司綜合法律事務所パートナー 中込 一洋
投資信託受益権等を共同相続する兄弟
  ある女性が亡くなり,4人の子どもたちがその女性の財産を相続しました。相続分は4分の1ずつなのですが,遺産であるMRF(マネー・リザーブ・ファンド)等の投資信託受益権や,個人向け国債の処理について話し合ったものの,相続人の1人が反対し,意見がまとまりません。そこで,残りの3人は,法定相続分に応じて当然に分割されているとして,権利を行使しようとしました。
  しかし,最判平成26・2・25判タ1401号153頁(以下,本判決といいます)は,共同相続された投資信託受益権や個人向け国債について,相続による当然分割を否定しました。その理由は「投資信託受益権に含まれる権利の内容及び性質」及び「個人向け国債の内容及び性質」に求められています。
  具体的には,投資信託受益権については,投資信託及び投資法人に関する法律において,金銭支払請求権(償還金請求権・収益分配請求権)のほか,委託者に対する監督的機能を有する権利(信託財産に関する帳簿書類の閲覧又は謄写の請求権等)が認められていることが指摘され,また,国債については,個人向け国債の発行等に関する省令において,額面金額の最低額は1万円とされ,その権利の帰属を定めることとなる振替口座簿の記載等は,この最低額の整数倍の金額によるとされていることなどが指摘されています。
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