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筆者は,村上春樹さんの文章が,好きです。やさしい前向きさがあるから。苦しいときを乗り越える強さを与えてくれるから。
今回は,村上春樹さんの短編集『女のいない男たち』(文藝春秋)に収録されている作品『ドライブ・マイ・カー』(48頁)に出てくる言葉について,法的に考えてみたいと思います。
彼は高槻に結婚はしているのかと尋ねた。結婚して十年になり,七歳の男の子がいると相手は答えた。しかし事情があって去年から別居している。おそらく近々離婚することになるだろうが,そのときは子供の親権が大きな問題になるはずだ。子供に自由に会えなくなることだけはなんとしても回避したい。
離婚すると覚悟したとき,子供との関係がどうなっていくのか,気になりますよね。高槻さんのセリフは,とても自然なものです。
民法819条1項は「父母が協議上の離婚をするときは,その協議で,その一方を親権者と定めなければならない」と定めています。
高槻さんについて具体的事情はわからないものの,別居のときに妻(母親)と子供が同居することに合意していること,男の子が7歳であることなどからすると,高槻さんが親権者になれる可能性は低いのかもしれません。
親権者になれなかったとき,子供と面会できなくなるのでしょうか。
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