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 第17回
たまたま似ていても,著作権の侵害になるの?
弁護士/司綜合法律事務所パートナー 中込 一洋
作品を創作した時点で発生する権利
  2020年東京オリンピックの公式エンブレムについて,ベルギーの劇場ロゴに似ているため著作権の侵害ではないか,と話題になりましたね。
  著作権は,所有権のような強い権利(誰に対しても主張できることを原則とする権利)です。そして,ある人が,作品(例えば絵画や小説など)を創作したとき,そのことによって(登録などの特別な手続をしないままで)著作権が認められます。著作権法は,創作をした人(著作者)に独占的な利用を認めることが,作品を創作することへのインセンティブになり,文化の発展に寄与するという考えに基づいています※1
※1: 著作権法1条 この法律は,著作物並びに実演,レコード,放送及び有線放送に関し著作者の権利及びこれに隣接する権利を定め,これらの文化的所産の公正な利用に留意しつつ,著作者等の権利の保護を図り,もつて文化の発展に寄与することを目的とする。
著作物って,どんなもの?
  著作権法2条1項1号は「著作物」を「思想又は感情を創作的に表現したものであって,文芸,学術,美術又は音楽の範囲に属するもの」と定義しています。ここに「創作的に表現した」というのは,その人による独自の工夫があることであり,創作者の個性が現れていることが重要です。そのため,ありふれた表現は著作物ではありません。
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