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Aさんは,平成2年生まれの雌のミニチュアダックスフント犬を「B子」と名付けて,長年愛玩していました。
平成14年1月ごろ「B子」が体調を崩したため,Aさんは近所の動物病院で治療を受けましたが,成果がなかったため,同年4月,遠方のY病院に診察を依頼しました。そこで,「B子」は無菌性結節性皮下脂肪織炎と診断され,入院治療を受けましたが,入院期間が長引き,その後転院したものの,右前足を引きずる等の後遺障害を負うことになりました。
AさんがY病院に対して約400万円の損害賠償を請求したところ,東京高裁平成20・9・26判例タイムズ1322号208頁(以下,本判決といいます)は,Y病院の責任を認め,約60万円の支払を命じました。
これは転院先の治療費などのほか,慰謝料40万円を認めたものです。ペットに関する慰謝料としては比較的高額であり,本判決は,その理由としてAさんが「我が子同様に可愛がり,強い愛着を抱いていたこと」を指摘し,「一時生死が危ぶまれるような状態に陥った」ことなどから「多大な精神的苦痛を被ったものと認められる」と判示しました。
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