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Aさんは,自宅近くのショッピングセンターに買い物に行った際,駐車区画に自分が運転する普通乗用自動車をいったん収めたのち,切返しのために,車をゆっくり前進させました。その時,通路を進行してくるBさん運転の普通乗用自動車に気付いたため,Aさんは車体を駐車区画から半分くらい通路にはみ出させた状態で停止しました。しかしその後,進行してきたBさんの車と衝突してしまいました。
その結果,双方の車が破損してしまったため,Aさんが損害賠償請求訴訟を提起したところ,Bさんは,Aさんにも過失があるから減額すべきだと主張したのです。このように損害賠償額を算定する際に被害者の過失を斟酌することを,過失相殺といいます。
民法722条2項は「被害者に過失があったときは,裁判所は,これを考慮して,損害賠償の額を定めることができる」と規定しており,この趣旨は損害賠償制度の趣旨である公平にあるとされています。被害者の過失により発生・拡大した損害については,すべてを加害者に負担させるのではなく,被害者にも負担させることが公平だということですね。
大阪地判平成20・2・19交通民集41巻1号181頁(以下,本判決といいます)は,このような事故について,切返しのため駐車区画から前進したAさんの過失を30%,通路を進行していたBさんの過失を70%としました。
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