|
民法(債権関係)の改正については,本連載でも何回かとりあげました。その国会審議は未了ですが,法制審議会では,民法(相続関係)の改正を検討しています。相続法については,昭和55年に配偶者の法定相続分の引上げ及び寄与分制度の導入等の改正がされて以来大きな見直しはされていませんでしたが,更なる高齢化社会の進展などを受けて、法改正の検討が進められています。現在は,「中間試案」を公表する準備をしており,近いうちにパブリックコメントが募集されることになりそうです。
そこでは,配偶者を保護するために,@居住権を認めること,A法定相続分を増やすことなどが検討されています。
この議論のきっかけは,子の相続分を差別していた(法律上の配偶者との間に生まれた子を優遇していた)民法900条4号ただし書前段が削除されたことにあります。これは最大決平成25・9・4民集67巻6号1320頁が憲法違反と判断したことによる法改正でしたが,これによって子の相続分が平等になった(妻の生んだ子も,夫の浮気相手から生まれた子も,同じ相続分になった)ことを受けて,これではバランスが悪いから,法律上の配偶者の保護を強くするべきではないか,という意見が示されたのです。
|
|