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 第2回
役員退職金アプローチの深掘り
古賀社労士・FPオフィス 代表 古賀 輝行
  筆者は数多くの生保セールスパーソンに法人開拓研修の講師をしている。研修を通じて受講生に実践してもらっていることをシリーズでお伝えする。第2回は、前回の「プレアプローチから役員退職金アプローチまで」の続編として、「“蔵を造ろう”トーク」と「BCPトーク」を紹介する。
 1  “蔵を造ろう”トーク
  東北地方のある生保セールスパーソンAさんが得意とする「“蔵を造ろう”トーク」を紹介しよう。
  役員退職金準備を目的として加入する生命保険を、企業の安定経営のための財源として活用できるというトークである。以下は、Aさんのトーク例である。
  退職金のための準備ですが、退職金以外にもお役に立つことがあります。業績が落ち込んだ時や、ここぞという投資をする時などの急を要する資金として使えます。使ってしまったらその分は退職金額が減ってしまいますが、とっても役に立ったと喜んでいただいたお客様がいます。丁度、“生命保険という蔵”を造って財産を蓄えておくようなものです。もちろん、ずっと業績が順調で、予定した退職金を満額受け取れるのがベストですね。
  Aさんは、法人契約の生命保険により勇退退職金の準備をすることは、同時に企業の安定経営に役立つことを経営者に伝えているのである。企業にとって、右肩上がりの増収増益は理想的であるが、現実には赤字決算を余儀なくされる時もあり、毎年安定的な利益を出し続けることは難しい。赤字決算が予想される場合、生命保険を一部解約して解約返戻金で赤字を補てんすることで決算対策ができ、安定した経営状態を維持することができる。また、契約者貸付を利用してキャッシュフローの改善を図ることもできる。
  生命保険により、長期的視点で勇退退職金に備えるとともに、中期的視点で貸倒れ、天災、リーマンショック等の経営環境の激変による突発的な出費に備える資金源となるのである。
  好業績時には、利益の一部を蔵に収めておき、企業の存亡に関わるような非常時や事業拡大の大きなチャンスの時に、蔵の扉を開けて利用するということになる。勇退退職金の準備という当初の目的とは異なるが、それ以上に重要な場面で有効活用ができることになる。
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