Home > 営業スキル > 生命保険営業★ブラッシュアップ講座

役員退職慰労金からのアプローチ  死亡退職金編 
一級ファイナンシャル・プランニング技能士/株式会社シャフト 服部 泰彦
経営者は「自分の退職金の額を自分で決められる」
  中小企業経営者が生命保険に加入する目的は、大きく分けると「事業保障・継続資金」と「役員退職慰労金」の2つがあります。「事業保障・継続資金」については先月紹介しましたので、2カ月にわたって役員退職慰労金(今月は死亡退職金、来月は勇退時退職金)について取り上げます。
  一般的に多くの中小企業経営者は、「死亡退職金」を「何かあった時の備え」の中に含めてイメージしていることがあります。つまり「何かあった時の備え」として「事業保障・継続資金」と「死亡退職金」を合算して生命保険に加入していることが多いということです。そして先月紹介したように「事業保障・継続資金」として「必要な金額」が把握されていないことが多いということは、もし中小企業経営者が突然に死亡した場合、死亡保険金の使途は「事業保障・継続資金」が優先されるであろう、ということです。
  このような場合、遺族に対して十分な「死亡退職金」が支給できなくなります。したがって、「死亡退職金」として十分な金額が確保できているか否かが保障点検のポイントになります。現在、「死亡退職金」に充当できる金額はいくらかというと、加入中の保障額から「事業保障・継続資金」を差し引いた金額になります。「事業保障・継続資金」の必要額については先月紹介しましたので、参考にしてください。
  それでは、「死亡退職金」の必要額について検証していきましょう。まず、「死亡退職金」は「遺族生活資金」や「相続税の納税資金」に充当できるため、それぞれの資金に必要な金額を計算する必要があります。それらは本来なら経営者個人で準備すべき資金ですが、法人で準備することも可能だということを経営者に理解していただく必要があります。
  たとえば一般的なサラリーマンであれば「遺族生活資金」は基本的には個人で準備します。40歳で配偶者と子供が2人いれば、まず、万が一のことがあった時に遺族が生活していくのに必要な金額を計算します。末子が独立するまでは現在の生活費の7割、その後は妻の平均余命まで現在の生活費の5割、さらに子供の教育資金や結婚資金、そして葬式代などを加算した金額になります。そこから公的年金の支給額や会社からの死亡退職金を差し引いた金額が個人で準備する必要保障額になります。
  ところが、中小企業経営者は自分自身の「死亡退職金」を自分自身で決めることができるのです(ただし、役員退職慰労金規程等による所定の手続きは必要です)。その結果、十分な額の死亡退職金があれば、中小企業経営者は遺族生活資金のための生命保険に個人で加入する必要がないことになります。これは中小企業経営者が法人契約の生命保険に加入する際に、非常に大きなメリットになっています。
※ これ以降は会員専用ページです