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相続財産完全防衛額からのアプローチ
一級ファイナンシャル・プランニング技能士/株式会社シャフト 服部 泰彦
納税後に被相続人の財産を完全な形で残すために
必要な保険金額
  今年1月から相続税の増税が始まり、相続(税)対策のための生命保険提案が活発化しています。最もポピュラーな生命保険の非課税枠や、近年注目が集まっている保険料の生前贈与プランなどが提案の主流になっていると思います。
  一方、生命保険と相続税との関係を活用した提案手法として「相続財産完全防衛額」が従来からありますが、この完全防衛額を活用した提案は実際にはほとんど行われていないのではないでしょうか。営業職員に「活用されない」というのは、じつは「活用できない」ことが本当の理由だと思われます。そして「活用できない」というのは、「顧客に受け入れられない」からだと思われます。
  しかしながら、「活用されない」⇒「活用できない」⇒「顧客に受け入れられない」ことの本当の理由を理解されている方は少ないようです。そこで今回、改めて「相続財産完全防衛額」について考えてみたいと思います。まず、「相続財産完全防衛額」とは、相続税を納税後に被相続人の財産をそっくりそのまま完全な形で残すためには死亡保険金がいくらあればよいか、「生命保険の必要加入額」を計算するものです。
  完全防衛額の生命保険を利用しない場合の相続税額と、納税後の残存財産は次のようになります。
相続人:配偶者と子供2人
遺産総額:5億円(法定相続分による遺産分割とする)
課税遺産総額:5億円−(基礎控除額3,000万円+600万円×3人)=4億5,200万円
相続税の総額:
配 偶 者 4億5,200万円÷2=2億2,600万円
2億2,600万円×45%−2,700万円=7,470万円
子供(1人分) 4億5,200万円÷2÷2人=1億1,300万円
1億1,300万円×40%−1,700万円=2,820万円
配偶者+子供2人 7,470万円+2,820万円×2人=1億3,110万円
各人の算出税額:
配 偶 者 1億3,110万円÷2=6,555万円
配偶者の税額軽減を適用
配偶者控除額 1億3,110万円÷2=6,555万円
よって、配偶者の税額は0円
子供(1人分) 1億3,110万円÷2÷2人=3,277.5万円
相続税の納税額:
配偶者+子供2人 0円+3,277.5万円×2人=6,555万円
納税後の財産:5億円−6,555万円=4億3,445万円
  このように5億円の財産があっても納税後の財産は4億3,445万円になってしまいます。
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