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意外と多い!?相続知識のカン違い
「相続時精算課税制度編」
一級ファイナンシャル・プランニング技能士 服部 泰彦
  今年1月の相続税法改正をきっかけにして、生命保険を活用した相続対策の提案が増加しているようです。それにともない生命保険営業に携わる方々の相続に関する知識も飛躍的に向上しているのではないでしょうか? しかしながら、一方で間違った解釈をしている部分が多いのも事実です。今回は、利用事例が少ないこともあって勘違いされることが多いに相続時精算課税制度について解説します。
相続時精算課税制度のおさらい
  贈与税の課税制度には、「暦年課税」と「相続時精算課税」の2つがありますが、一定の要件に該当する場合には、相続時精算課税を選択することができます。この制度は、贈与時に特別控除額(限度額は2,500万円)を控除した贈与財産に対して一律20%の贈与税を納め、その贈与者が亡くなった時にその贈与財産の贈与時の価額と相続財産の価額とを合計した金額を基に計算した相続税額から、既に納めたその贈与税相当額を控除することにより贈与税・相続税を通じた納税を行うものです。
  同制度が適用できるのは、贈与者は60歳以上の親または祖父母、受贈者は20歳以上の子または孫です。ここで勘違いしやすいのがその年齢です。贈与した日、贈与を受けた日の年齢ではなく、贈与した年、贈与を受けた年の1月1日時点で要件の年齢に達していなければなりません。
  相続時精算課税は、いったん選択すると選択した年以後、贈与者が亡くなるまで継続して適用され、暦年課税に変更することはできません。ここで勘違いが多いのは、相続時精算課税制度をひとたび選択すると、以後誰からの贈与についても暦年贈与が利用できなくなると思われている点です。
  確かに相続時精算課税制度を選択すると、以後贈与者が亡くなるまで暦年贈与への変更ができないとされていますが、それは相続時精算課税制度によって贈与をした贈与者については暦年贈与の利用ができないという意味で、それ以外の人から暦年贈与で受け取っても問題はありません。
  また、相続時精算課税制度は贈与者ごとに2,500万円の特別控除額が利用できますから、例えば祖父から2,500万円、祖母から2,500万円、最大で合計5,000万円の特別控除額を利用することも可能です。
  一方、暦年贈与は受贈者単位で基礎控除の110万円が設けられています。そのため、祖父から100万円、祖母からも100万円の贈与を受けた場合、それが暦年贈与であれば100万円+100万円=200万円から基礎控除の110万円を差し引いた90万円が課税対象額になります。この辺りの知識が混同しているために、相続時精算課税を利用すると以後は一切暦年贈与の利用は不可能と考えてしまうようです。
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