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意外と多い!?相続知識のカン違い「葬式費用編」
一級ファイナンシャル・プランニング技能士 服部 泰彦
  相続税の改正によって、今年1月以降の相続については相続税が課税される方が大幅に増えることが確実になっています。そのため今まで相続税とは無縁だった方にも納税の義務が生じることになり、様々な疑問やカン違いが出てきています。すでに先月までにいくつかの事例を紹介しましたが、今回は葬式費用に関する疑問とカン違いについて解説します。
香典返しの費用は相続財産から控除できない!?
  相続税を計算するとき、被相続人が残した借入金などの債務は遺産総額から控除することができますが、債務ではない葬式費用も控除することができます。
  そして相続財産から控除できる葬式費用は、相続税法基本通達13−4〜5で次のように定められています(国税庁タックスアンサー4129相続財産から控除できる葬式費用)。
葬式費用に含まれるもの
(相続財産から控除できる)
葬式費用に含まれないもの
(相続財産から控除できない)
1. 死体の捜索又は死体や遺骨の運搬にかかった費用
2. 遺体や遺骨の回送にかかった費用
3. 葬式や葬送などを行うときやそれ以前に火葬や埋葬、納骨をするためにかかった費用(仮葬式と本葬式を行ったときにはその両方にかかった費用が認められます)
4. 葬式などの前後に生じた出費で通常葬式などにかかせない費用(例えば、お通夜などにかかった費用がこれにあたります)
5. 葬式に当たりお寺などに対して読経料などのお礼
1. 香典返しのためにかかった費用
2. 墓石や墓地の買入れのためにかかった費用や墓地を借りるためにかかった費用
3. 初七日や法事などのためにかかった費用
  この記載を見て、「香典返し」が葬式費用に含まれないことに疑問を感じられる方がおられますが、そもそも「香典返し」とはいただいた香典に対する「謝礼」となります。そこで「香典」の課税関係を確認すると、香典は贈与税の非課税財産に該当しています(国税庁タックスアンサー4405贈与税がかからない場合)。
8. 個人から受ける香典、花輪代、年末年始の贈答、祝物又は見舞いなどのための金品で、社会通念上相当と認められるもの
  つまり、非課税で受け取った香典に対する謝礼である「香典返し」を、相続税の控除対象にすることは課税上のバランスを欠くことになるからです。
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