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保険料前納における経理処理の注意点
一級ファイナンシャル・プランニング技能士 服部 泰彦
23カ月分の保険料が損金算入可能に
  この数年間、アベノミクス効果と日銀の金融緩和策による景気回復期待によって株価の回復と円高の是正の傾向が見られたのですが、年明けより株価は下落し円高懸念も出てきています。その要因分析は専門家に委ねることとしますが、中小企業経営者には先行き不透明感による不安が増幅しているようです。しかし、直近の業績に直接的な影響が出ているようではありませんので、まさに迎えようとしている3月決算において何らかの対策を検討している中小企業経営者はかなりいらっしゃるようです。
参考:決算期を迎える企業が多い月ベスト3
1位 3月 19.5%
2位 9月 10.9%
3位 12月 10.0%
(平成26年度の決算期別の普通法人数の割合。国税庁HP統計年報 法人税より)
  以前は、決算対策用の保険商品として全額損金でありながらキャッシュバリューのある逓増定期保険の提案が流行りましたが、平成20年2月の逓増定期に係る税制変更によって、実質的に全額損金の取り扱いができなくなりました。また、法人税率の引き下げによって損金算入による税軽減効果も縮小していることもあり、決算対策としての逓増定期保険の加入は一時に比べて下火になっている傾向が見られます。
  生命保険を活用した別の決算対策として、「月払契約の保険料の前納」があります。たとえば、3月決算の中小企業が全額損金となる保険に加入していて、月払保険料を毎月100万円支払っていたとすると、この時点で前年の4月分から前月の2月分まで延べ11カ月分の保険料がすでに払い込まれています。そこで3月分(1カ月)の保険料に加えて、翌年度である今年の4月分から来年の2月分までの保険料も前納し、合計で3月から1年分の保険料(前納割引は考慮せず)、1,200万円を支払ったとすると、全額を損金算入できます。
  つまり、今期決算で23カ月分(前年4月分〜来年2月分)の保険料2,300万円が損金算入できるわけです。
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