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名義変更に関する注意点 その2
一級ファイナンシャル・プランニング技能士 服部 泰彦
法人に名義変更すると損金算入できるがデメリットも…
  先月は名義変更に関する注意点について解説しましたが、今月は個人契約を法人契約に名義変更する場合の注意点について解説します。
  個人事業主が法人成りすることによって、個人契約の生命保険を法人契約に名義変更したいとの申し出を受けることがあります。また、申し出がない場合でも生保セールス側から名義変更のアドバイスを行うこともあります。このような場合、いくつか注意すべきことがあります。
  まず、法人成りによって個人契約の生命保険を法人契約に名義変更するメリットは、保険料の税務上の取り扱いの違いにあります。個人契約の場合は、経営者本人や家族従業員(役員)の保険料は「生命保険料控除」の対象になるだけですが、法人成りによって個人契約を法人契約に名義変更すれば、それらの保険料は法人の経費(損金)にすることができます。
  もちろん、保険種類によって資産計上となるものもありますが、いわゆる定期保険系の保険料は損金算入が可能(長期平準定期や逓増定期は2分の1損金など)になり、利益の出ている法人にとっては税負担の軽減につながります。
  次に、名義変更に伴う注意点として、名義変更時の経理処理があります。前述の名義変更の場合、法人が個人から保険契約の権利を買い取ることになるので、保険契約上の権利の価格(名義変更時の解約返戻金と配当金の合計額)を法人の資産に計上する必要があります。
  これは終身保険や養老保険のように保険料の経理処理が資産計上になる商品だけではなく、保険料の損金算入可能な定期保険についても同様(たとえ全額損金算入の場合でも)の経理処理が必要になります(ただし、解約返戻金等の無い商品については経理処理不要)。つまり、法人は個人に対価(現金)を支払うことになり、法人成りしたばかりの法人にとっては大きな負担になる場合もあります。
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