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 【基礎編】第2回
利益の平準化を図ることでさまざまな
リスクに対応ができる「年金受取」
税理士 山口 淳一
  基礎編の第2回目にあたる今回は、「年金受取」についてご説明します。
法人の財務安定化を図る機能の誕生
  法人における生命保険の主な利用目的は、保険事故の発生した事業年度の資金不足を補填することでした。税務的には、支給が確定した日の属する事業年度の益金として計上します。その結果、現預金等が多く、また、利益が出ている企業では、さらに利益が膨らみ、それに伴う税負担が発生してしまいます。つまり、企業が受け取った保険金等には法人税等が課され納税するため手取金額はかなり目減りしてしまいます。
  生命保険会社は、保険金等を一時金で支払う方法のほかに年金として分割して支払う方法を特約で用意しています。具体的に年金を支払う方法には、次の2つがあります(保険会社により名称が異なりますので、ご注意ください)。
年金支払特約 保険金等を一時金に替えて、分割して受け取る方法をいいます。
年金移行特約 契約後、保険料の積立期間が満了した後に、それを原資にして、老後の生活資金などに使うために分割して受け取るものをいいます。
※年金額は、支給時の金融情勢等によって適用される利率で決定されるので、契約時には確定していません。
  年金受取については、前回も触れさせていただきましたが、今回は「年金支払特約」について特約として約款上規定されている機能と活用の仕方を保険金受取人等の立場から解説します。
  従来、企業においては、保険金を一時金で受け取ることが一般的で、「年金受取」はあまり使われてはいないようでした。その理由としては、「年金受取」ができることをよく知らなかったことと、分割して年金を受け取った場合の税法の取り扱いが定まっていなかったからだと思われます。
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