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 【基礎編】第5回
保険料の払い込みが不要となる
「払済保険」と「延長保険」の効果的活用法
税理士 山口 淳一
  今回は「払済保険」と「延長保険」について、ご説明します。
決算時の財務戦略に活用できる払済保険
  初めに「払済保険」についてご説明します。
  「払済」とは、現在有効に継続している生命保険の保険料の払い込みを中止して、そのときの解約返戻金をもとに一時払の養老保険もしくは元の契約と同じ種類の生命保険に変更することをいいます。
  例えば終身保険の場合は、保険金額は元の契約より小さくなりますが、解約返戻金で一時払終身保険に変更します。その際、契約年齢は変更後の年齢ではなく、原契約をそのまま引き継げるのが、変換権を行使した場合との違いです。
  この「払済保険」は、個人契約の場合でもよく利用されています。
  具体的には、保険料の支払いができないなどの事情があった場合、単に解約するのではなく、残念ながら契約時の死亡保障額は維持できませんが、一定の保障を確保できる方法です。この場合の払済保険金額はその時点の解約返戻金と予定利率に基づいて決定されます。また、解約返戻金は払済時点の予定利率により払済保険金まで増加していきます。このような点から言うと運用商品としての側面もあります。この手法は、法人においても活用できるものです。
  しかし、法人契約と個人契約との大きな違いは税制にあります。
  個人契約では、払済にしても課税関係は生じません。しかし、法人契約においては事情が違ってきます。つまり、法人契約で払済にした場合は、原則、洗い替えとなります(資料1参照)。ただし、定期保険特約が付加されていない終身保険、養老保険、個人年金保険から同種の払済保険に変更した場合については、例外としています。
資料1 国税庁HP 法人税基本通達
(払済保険へ変更した場合)
9−3−7の2 法人が既に加入している生命保険をいわゆる払済保険に変更した場合には、原則として、その変更時における解約返戻金相当額とその保険契約により資産に計上している保険料の額(以下9−3−7の2において「資産計上額」という。)との差額を、その変更した日の属する事業年度の益金の額又は損金の額に算入する。ただし、既に加入している生命保険の保険料の全額(傷害特約等に係る保険料の額を除く。)が役員又は使用人に対する給与となる場合は、この限りでない 。
(注)1  養老保険、終身保険及び年金保険(定期保険特約が付加されていないものに限る。)から同種類の払済保険に変更した場合に、本文の取扱いを適用せずに、既往の資産計上額を保険事故の発生又は解約失効等により契約が終了するまで計上しているときは、これを認める。
(以下、省略)
参照 国税庁HP 「【新設】(払済保険へ変更した場合)」
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