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 【基礎編】第7回
法人契約における高度障害保険金の活用法
税理士 山口 淳一
  今回は前回に続いて「生前給付」の1つである、「高度障害保険金」についてご説明します。これは、被保険者が責任開始期以降に発生した傷害または疾病を直接の原因として高度障害状態(末尾の別表参照)になった時に、死亡保険金と同額の高度障害保険金が支払われるというものです。
  生命保険が日本で誕生した時にはありませんでしたが、その後、生命保険会社が所定の状態になった時に死亡に準じたものとみなして保険金を支払うとしたもので、現在ではほとんどの生命保険商品に組み込まれています。ただし、医療保険などの商品においては、高度障害状態と認定された時には、保険料払込免除されることが多いようです。
個人での活用方法
  今までお客様にヒアリングしてきましたが、死亡保険金については当然ご存じでしたが、高度障害保険金についてはご存じではないか、名前だけは聞いたことがあるという程度の方が多いようでした。実際、この保険金は死亡保険金のように生命保険契約が継続した場合に必ず支払われるものではなく、一定の条件に該当した時のみ支払われるものです。そのため、給付事由に該当していることを知らないため、請求していないケースがあるようです。
  このように存在自体を忘れ去られているような保険金かもしれませんが、給付事由になられた場合の金銭的な効果は絶大ですので、お客様の保険をもう一度ご確認することをお勧めします。
  また、高度障害保険金は誰に対して支払われるかを確認しておくことが必要となります。死亡保険金の受給権者は、もちろん死亡保険金受取人ですが、高度障害保険金の場合は、死亡保険金受取人ではなく、高度障害状態になられたご本人(被保険者)であることをお客様にご説明しておく必要があると思います。
  なぜなら、高度障害状態になると、ご本人では請求できない状態であるケースが少なくないからです。この場合、民法では請求権者である被保険者ご自身に権利能力がない場合には、保険会社としては被保険者のご家族から請求されてもそれを受け付けることができないことがあります。
  そうなると家庭裁判所に申請して、就任した成年後見人が高度障害保険金の請求をすることになります。その期間に数か月かかることもありますので、入院・治療費、生活費等の資金が必要なときには、タイムリーな給付が求められます。そのため、このような状況も想定して、事前に「指定代理請求人」を指定しておく必要があります。
  また、保険契約から長い期間が経過している生命保険契約の場合、指定代理請求制度が存在しない時代のものも中にはあります。そのときにはお客様にその内容をご説明の上、指定代理請求人特約を中途付加すべきかどうか判断を仰ぐことが重要かと思います。
  なお、受け取った高度障害保険金には課税関係は生じません(所得税法施行令30条)。つまり、保険会社から支払われる保険金全額が手取り金額となります。
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