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 【基礎編】第9回
ピンチのときには「契約者貸付」や
「自動振替貸付」の活用も
税理士 山口 淳一
  今回は、契約している生命保険の解約返戻金の一定範囲内で貸し付けを受けられる「契約者貸付制度」と、解約返戻金の範囲内で保険料を自動的に生命保険会社が立て替えて契約を有効に継続させてくれる「保険料の自動振替貸付制度」について、本シリーズのテーマである「決算書からアプローチする法人開拓」の観点から解説します。
契約者貸付の個人における活用方法
  「契約者貸付」は、保険契約者が資金を必要としたときに契約していた生命保険に解約返戻金がある場合、それを担保にして、その金額の一定割合(70〜90%の範囲ですが、保険会社、保険種類により異なります)まで貸付を受けられる制度です。
  生命保険には、保障と貯蓄の二つの機能を持っています。個人において契約者貸付が利用されるのは、特に貯蓄機能にスポットをあてた養老保険や終身保険等が対象となります。
  実際にこの制度を利用されるケースは、緊急予備資金と言われるものが多いと思われます。具体的には、予想外の出費が発生し、その金額を手元資金(具体的には預貯金など)では賄いきれない場合が想定されます。
例1
子供が大学受験で第一希望の私立大学に合格して、入学金・年間授業料の支払いに100万円かかることになったが、学資保険等の積み立てができず、その分はもっぱら塾をはじめとする子供の受験勉強費用に回していた。そのため学費等の支払いに充てる資金がないがどうしたらよいだろうか。
  このような場合に、その家庭が解約返戻金のある終身保険や養老保険などに加入していれば、その保険を解約することなく、必要資金の貸付けを受けることにより、子供さんの入学金等を賄うことができます。
契約者貸付の法人における活用方法
  法人では、個人以上に予想外の緊急資金が必要になることが多くあります。個人の場合と違って長期定期保険や逓増定期保険も契約者貸付の対象商品となることがあります。
  法人契約の場合は、契約時点で資金繰り悪化から保険料の継続支払いが困難になることを想定したり、または、前述の資金繰り悪化による資金調達のことも踏まえて検討することが重要になります。
  本シリーズのテーマである「決算書からアプローチする法人開拓」の観点から、過大な保険料の支払いによって企業の資金繰りを圧迫してしまい、その結果、生命保険契約を継続することができずに契約が終了してしまうようなことは防がなくてはなりません。そのためには、保険提案の前にその企業の流動資金の確認が必要となります。
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