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 第1回
決算書を手に入れる前に(1)
経営者の悩みを予想、共有しよう
株式会社ライフUP 代表取締役 橋口 慎也
  筆者は現在、生損保代理店の経営・営業をしております。生保営業の現場では、まずは信頼関係を築くことが前提ですから、契約に至るまでのお客様の判断基準として、誰から入るという「属人的な関係」によって契約になるケースが多いのは当然ですが、最近は以下のようなケースが多くなっています。@個人向け損保は価格競争力、A法人向け損保は商品力・価格競争力、B個人向け生保は保障の必要性の訴求力・価格競争力・商品力、C法人向け生保は財務的なコンサル力と解約返戻率――が大きな決定要因となってきています。
  本シリーズは、生命保険の法人契約を獲得するには、どんな段取りをして、何を話したらよいかを実際の事例も交えてご紹介していきます。
階層別に見たお客様のニーズから…
  約16年前、外資系の生命保険会社から1本の電話が、当時、筆者が所属していた銀行にかかって来ました。「ま、話だけなら聞いてもいいかな」と思い、自分なりの“保険業界に対する負の印象”を持ちながらリクルーターと会ってみました。話を聞いていくうちに「あれっ!? 想像していたものと違う?」と感じました。彼は「保険のフィールドは、法人、開業医、資産家等いくらでもありますよ。サラリーマンと違い転勤がなく、一生お客様のお手伝いができますよ」と述べ、さらに財務・法務・税務を駆使した提案型セールスを推奨しているのだと胸を張りました。それから、1年悩みに悩んで決断しました。保険業界に入ることを。
  生保営業を開始してしばらくすると、各階層のお客様が提案の過程で何を求めているのか、筆者の中でおぼろげながら次のようなニーズの分類ができました。
@ 商品力訴求、価格競争力 独身
A 家計収支分析+社会保険の説明、保障の必要性 ファミリー層
B 資産運用、リスク対策 開業医、資産家
C 財務体質強化、キャッシュフロー改善
高解約返戻率の商品提案、銀行対策、人事労務対策
法人
D 事業承継対策 法人、経営者個人
  これから、表のCDの法人、経営者個人の悩み解決に生命保険を活用する方法をお話ししていきます。
保険関係者が決算書を見せてもらえないワケ
  決算書分析以前に、「どう切り出したら、決算書を見せてもらえるのか」という段階で悩んでいらっしゃる営業の方が大勢いらっしゃいます。例えば、保険関係者が「ぜひ、御社のお役に立つ提案をさせていただきたく存じます。つきましては、決算書をご準備いただけますか?」と経営者に言っただけで提出してくれる会社があれば、「何て、楽なんだろう」と思います。決算書をすんなり出してくれる会社は、まずありません(損害保険は、保険料算出のために売上の数字が必要な場合は見せていただけます)。
  なぜ、見せてもらえないかというと、これまで保険関係者から執拗なセールスを受け、保険営業に対して辟易とされているからでしょう。それに、見せたところで、「果たして、会社の利益にプラスになる情報を、本当に提供してくれるのだろうか?」といった不安感や恐れを経営者は抱いていらっしゃるのではないでしょうか。ですから、決算書を出す必然性がないと判断されるのです。家庭に置き換えて考えてみれば分かりやすいと思いますが、知り合って間もない方にいきなり「家計簿を見せてください」と言われたって、「ハイ、そうですか」とはなりませんよね。
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