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 第3回
会社の財務内容を分析(1)
決算書からどのように保険提案につなげるか
株式会社ライフUP 代表取締役 橋口 慎也
  前回は、お客様から決算書を見せていただくための方法をお話ししました。第一に自分を見ていただくこと、第二に情報提供に徹しながら、決して焦らず信頼関係を築くことが大切であるということです。ところで、中小企業経営者にとって決算書は、どのような位置付けなのでしょうか。
決算書は何のために作成するのかご存じですか?
  企業会計の目的を大別すると、「管理会計」と「財務会計」の2つになります。管理会計は企業の内部報告・活用を目的としています。一方、財務会計は企業外部の株主、債権者、取引先、投資家、国・地方公共団体といった利害関係者に企業情報を報告するのが目的です。大半の中小企業の決算書は財務会計を目的として作成されます。特に債権者=銀行・仕入先、取引先=販売先に加え、税金、入札条件クリアのために国・地方公共団体などへの報告が決算書の大きな役割と考えています。
  分かりやすく言えば、決算書は、銀行、取引先、国・地方公共団体などへの“通知表”と言ったらいいでしょうか。好成績を示す通知表(決算書)ほど、銀行は評価します。そんな決算書を提出できる企業は融資の条件に恵まれ、その資金を有効利用して、次のステップへ上がることが可能になります。
  優良な決算書は、取引先や新たな取引先を検討している企業にとっても同じように働きます。決算書の財務内容が良い会社との安定的・継続的な取引を継続したいと考えるのはどこも同じです。そんな企業は、取引金額は増加し取引先は広がります。これが波及して、新規の取引先も興味を持ち、仕事が舞い込む好循環が生まれます。“人”“情報”“金”は、価値のある所にどんどん集まって来るのです。つまり、外部に対して優良な決算書はこの上ないPR材料となるわけです。
  好成績な通知表なら他人に見せたいところですが、成績が振るわなかったらどうしたらよいのでしょうか。この場合、企業にとって決算書はこの上ない反省材料となります。決算書を分析して、たとえば、売掛金の回収が速い、在庫の回転が速いなど、良い点が見つかれば強化していけばいいのです。反面、固定費が掛かり過ぎる、利幅の薄い商品の売上の割合が多いなど、問題点を明確にすることで改善策を検討することができます。さらに、改善策による効果を予測することが肝要ですが、いずれにせよ、決算書は今後の財務・商品戦略を立てる上で客観的かつ公正な資料になると筆者は考えます。
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