Home > 業界・商品・コンサル等 > 業界TOPIC

第一生命の米「プロテクティブ生命」買収と各生保の海外戦略
保険ジャーナリスト / 「inswatch」編集人 石井 秀樹
  さる6月4日、第一生命が米国中堅生保の「プロテクティブ生命」を57億800万ドル(約5,822億円)で買収することを発表し大きな話題を呼んだ。一つはその買収額で国内保険会社による海外保険会社の買収では過去最高金額となること、もう一つは買収資金について、同社の2013年〜2015年度の中期経営計画で策定した新規資本投下枠(2014年3月末現在の残高2,400億円)の活用に加え、株式会社としてのメリットを活かして公募増資(新株発行)による資金調達(約2,500億円)を行うこと、そして三つめはこれまでアジア・パシフィック地域を中心に海外戦略(出資・M&A)を展開してきた同社がアジアのみならず米国生保市場に参入することによって、本格的にグローバル保険グループへと舵を切ったことだ。
  第一生命が買収する「プロテクティブ生命」は、米国の個人保険・個人年金事業を主要事業に展開する保険会社で、買収による事業規模拡大を特長としている。今回の買収金額はプロテクティブ生命の2014年6月2日までの過去1ヵ月間の平均株価に約35%上乗せした価格となる。したがって買収コストを上回るシナジー効果を得るには更なる利益成長が不可欠で評価も別れる。一方で、保険業界では少子化・高齢化といった環境変化に伴い国内市場が縮小傾向にあり、今後の収益確保に向けて海外戦略の強化は必至だ。ここ数年、大手生保を中心に海外投資が活発化しているが、第一生命の今回の買収が他社の戦略に及ぼす影響は大きく、今後の展開が注目されるところだ。
※ これ以降は会員専用ページです