Home > 業界・商品・コンサル等 > 押さえておきたい新商品・新サービス
 
従来の遺言信託とは違う「遺言代用信託」
ファイナンシャル・プランナー/高伊FP事務所 代表 高伊 茂
この4月から住友信託と中央三井信託が一緒になり、三井住友信託が誕生しました。このことは、戦後の長期資金ニーズを解決するために、利回りが高く退職金の預入先として圧倒的な人気のあった貸付信託(ビッグ)を募集していた時代が終わり、信託銀行がさらなる第一歩を踏み出した象徴でもあります。さて、今回は、従来から信託銀行では「遺言信託」とよばれるものがありますが、最近、似た名前の「遺言代用信託」というものが登場しつつあります。両者の違いを整理して、クライアントのニーズに応えていけるようにしましょう。
1 遺言信託のしくみ
  信託銀行が従来から商品化している「遺言信託」は、遺言書作成のお手伝い、遺言書の保管、遺言執行が主な内容です。
  具体的には、クライアント(遺言者)から信託銀行が遺言作成の相談を受け、遺言書作成のコンサルテーションを行い、争いが起こらないように公正証書での遺言作成を勧めます。公正証書遺言を作成する場合には2名以上の証人が必要になりますが、適当な人がいない場合は銀行員が証人になってくれます。
  そして、できあがった遺言書を信託銀行が保管します。遺言者が存命のうちは、遺言者と信託銀行との間に定期連絡がありますので、相続人や財産の異動がある場合など遺言内容を変更したいときには、遺言書の書き換えにも対応してくれます。
  遺言者が亡くなった場合に、信託銀行は遺言執行者に就職して財産配分など遺言内容を実現してくれることになります。遺言の執行は、法律や財産管理に明るく相続手続きの経験が豊富な信託銀行がしてくれるので、遺族に法律やお金の管理に詳しい人がいない場合や、相続人がいないなどの場合に、安心して相続手続きを頼むことができます。ただし、遺族間に争いが起きている場合には、遺言執行者に就職しない場合もあります。
  遺言の執行の前提として、遺言者が死亡し相続が発生したことを信託銀行に連絡する人(死亡通知人)が必要になりますので、いざというときのために親族や近所の人に死亡連絡をお願いして、信託銀行と死亡通知人の契約をすることになります。
  そのほか、遺言がなかった相続の場合に、相続人全員から委任を受けて遺産分割の手続きをしてくれる「遺産整理業務」というものも、信託銀行でやっています。
  なお信託法の遺言信託には、本人(遺言者)が死亡したときに財産が信託銀行に移動して、遺言の内容にもとづき信託がスタートするものがあります(信託法第3条)。
(出典:信託協会HPより)
※ これ以降は会員専用ページです