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住宅購入時の保険見直しにおける
団信と収入保障の比較について
FP EYE 澤田朗FP事務所 代表/日本相続士協会 理事 澤田 朗
● 3大疾病保障付き団信なら医療保険は不要か
  住宅購入は今後の家計についてあらためて考えるきっかけとなり、加入中の保険の内容や今後必要となる保障についても再検討や見直しを考えるご家庭が多くあります。そのような場合、教育費や退職後の生活費等、今後の家計に想定される支出も考慮してライフプラン作成を行うことで顧客の満足度も上がり、信頼度も増していきます。
  住宅購入にあたっては、周辺環境・物件・相場の調査、物件価格の妥当性の試算、購入可能額・必要となる頭金の額・毎月の返済額等の詳細な試算、等を行ったうえで購入計画・返済計画を作成する必要があります。今回はこれらの点については触れませんが、「頭金は購入価格の2割以上」「返済額は年収の35%以内で」といった世間で安全と言われている住宅ローンの目安を根拠とするのではなく、顧客ごとに具体的な金額を算出していく必要があります。
  住宅購入後に考えられるリスクとして、病気やケガで「働けなくなるリスク」があります。最近は「がん団信」「3大疾病団信」「7大疾病団信」など、病気になった場合や介護状態になった場合に、ローンの残債額がゼロになる団体信用生命保険が多く販売されています。また、保険料が無料の商品も出てきていますが、多くの商品は通常の団信よりも保険料が上乗せされたり、返済利率が上乗せになります。これらの商品を顧客に説明する際に注意したい点としては、がんの場合は診断確定された時点で債務免除となる商品が多いですが、その他の場合には「60日」「1年」など一定期間所定の状態が続かないと債務免除となりませんので、どのような状態になったら残債額がゼロになるのかを商品ごとに説明をしたうえで、顧客の判断を仰ぐ必要があります。
  団信で3大疾病・7大疾病の保障を準備すればローン残債の心配はなくなりますが、筆者の個人的見解としては医療保険やがん保険等で準備をしたほうが、治療費の補てんという面ではフレキシブルに準備ができ、より早い社会復帰を目指せるのではないかと考えています。商品によっては所定の状態が一定期間続かなくても入院した時点で給付金が受け取れるものや、20日以上継続入院の場合に支払われるものもありますので、団信よりも給付の時期を早くすることができます。両方準備できれば安心なのでしょうが、保険料負担の面もありますので、団信と、民間の医療保険・がん保険等の双方のメリット・デメリットを説明したうえで、顧客のニーズに合った保障の準備方法をアドバイスしていけば良いと思います。
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